茶業研究報告
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寒冷,温暖による茶芽の形態と茶葉化学成分の相違
和田 光正中田 典男本荘 吉男
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1981 年 1981 巻 54 号 p. 47-58

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抄録

寒冷地,温暖地,暖地の3産地から茶期別に初期・中期・末期に分けてそれぞれ摘採したやぶきた無覆茶園の原料について,茶芽の形態と化学成分を調査検討した。
1.茶芽の形態については,寒冷地と暖地のものが全般的に大きく,温暖地の茶芽が小さい傾向がみられた。第3葉の葉長,葉厚は葉幅の大きさによって左右される傾向がみられた。
2.茶葉の水分含量は,一番茶では暖地のものが多い傾向を示したが,二番茶では産地間の差がみられなかった。また,全窒素含有量は産地の差が少なく,タンニン含有量では,一番茶は寒冷地のものがやや多い傾向がみられたが,二番茶になると暖地のものが若干多くなる傾向がみられた。全ペクチン,粗せんい,粗でんぷん,可溶分は産地間の差がなく,可溶性窒素,カフェン態窒素は全般的にみて暖地のものが高い傾向であった。また,アミノ酸含有量は,一番茶では暖地の原料が多いが,とくに主要アミノ酸の多いのが注目された。
最後に,この試験のために試料の収集,調査に御協力頂いた埼玉県茶業試験場,静岡県茶業試験場,鹿児島県茶業試験場の方々,ならびアミノ酸の分析に御協力頂いた茶業試験場前化学研究室長・中川致之博士,また,とりまとめにおいて御助言頂いた枕崎支場製茶研究室・岡田室長に深甚なる謝意を表します。

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