茶業研究報告
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烏龍茶・包種茶の化学成分含量
高柳 博次阿南 豊正池ケ谷 賢次郎中川 致之
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1984 年 1984 巻 60 号 p. 54-58

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抄録

台湾産,烏龍茶,包種茶について品質審査および化学成分の分析を行い次の結果を得た。
1)烏龍茶,包種茶とも上級,中級,下級茶の順に審査評点が高く品質が優れていた。
2)烏龍茶において,上級茶に多く含まれている成分は,全窒素,タンニン,遊離アミノ酸,可溶分で下級茶に多くみられる成分は遊離還元糖であった。
包種茶においては,上級,中級,下級茶による成分含量の差に一定の傾向はみられなかった。ビタミンC含量は,両茶種とも極めて少なかった。カフェイン含量は,緑茶と比較して鳥龍茶の方が多かった。
3)カテキンについては,烏龍茶では(-)―エピガロカテキンガレート,(-)―エピガロカテキンなどは,煎茶の含量の約半量程度であり,その差は酸化重合したものによるものと思われた。
一方,包種茶では酸化重合型とみられるカテキン量が少なく,緑茶とあまり変わらなかった。
4)烏龍茶の遊離アミノ酸について,バリン,イソロイシンなどの増加がみられたが,アスパラギン酸,セリン,テアニン,グレタミン酸は減少していた。
5)無機成分含量は,鳥龍茶ではカルシュウム,マンガン,アルミニュウムは下級茶に多く上級茶に少なかった。
包種茶ではカリュウム含量が下級茶に多い傾向であった。他の成分には差はなかった。
本研究を行うに当り,試料購入に御協力いただいた製茶第2研究室長岩浅潔博士,無機成分分析に御指導をいただいた土壌肥料研究室長石垣幸三博,また,アミノ酸分析に御協力いただいた天野いね氏に深甚なる謝意を表する。

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