茶業研究報告
Online ISSN : 1883-941X
Print ISSN : 0366-6190
ISSN-L : 0366-6190
緑茶用主要品種の特性について(第5報)
定植4年目の一・二番茶収量(第I群)
鳥丸 萩夫渕之上 康元
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 1991 巻 73 号 p. 1-15

詳細
抄録
前報に引続き,わが国の緑茶用主要13品種を供試して(試験1:2年生苗定植5品種,試験2:1年生苗定植9品種),鹿児島県姶良郡溝辺町で実施中の地方適応性試験の定植4年目の一,二番茶收量について以下の知見を得た
11990年は供試品種の萠芽期から摘採期までに数回の降霜日が推定された。
2霜害程度の品種間差では,比較的萠芽の早かった'ゆたかみどり'と'あさつゆ'の被害がとくに目立ち,`やまかい',`あさひ',`うじひかり'なども他品種よりも被害が大きかった。
3一番茶の摘採期は,`やぶきた'に対する早晩差では,各品種とも全国平均と大差がみられなかったが,'ゆたかみどり'のみは5日遅かった(但し'あさつゆ'と'さみどり,は生存株率が他の品種よりも劣っていたので調査より除外した)。
4一区当たり收量の品種間差では,試験1では'かなやみどり'が顕著に他の品種よりも勝ったが,逆に'ゆたかみどり'は一番茶で顕著に劣った。
又,試験2では一番茶は'さやまかhり',`ここう',`やぶきた',`おくみどり'などが優れこれらはいずれも'やぶきた'並みの多收であったが,二番茶では'さやまかおり'と'やぶきた'が他の品種よりも顕著に勝っていた。しかし一方'こまかげ'と'うじひかり'の2品種は一,二番茶とも他の7品種より寡收であった(但し3同様'あさつゆ'と'さみどり'は調査より除外)。
5試験1の'ゆたかみどり'の一番茶減收の原因は明らかに霜害によるものであり,わく摘み調査では開葉数の多い芽の割合が他の品種よりも顕著
に少なかった。
6試験2の一番茶で同様に多收を示した'さやまかおり',`やぶきだ,`ここう',`おくみどり'の4品種間で開葉数による芽の種類別構成割合(わく摘み内の)が著しく異なっていたが,このことは今後品種の收量構成要素を分析していく上で興味ある知見と思われた。
7本成績を他府県の試験研究桟関の成績と比較すれぼ'ゆたかみどり'の晩霜害による一番茶の摘採期の遅れと減收を除く他の品種の收量多寡の傾向はあまり変らなかった。
著者関連情報
© 日本茶業技術協会
次の記事
feedback
Top