茶業研究報告
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茶樹の生育と内生インドール酢酸および内生アブシジン酸との関係について
潘 根生辻 正樹小西 茂毅
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1992 年 1992 巻 76 号 p. 15-20

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抄録

茶樹(Camella sinensis(L.) O. KUNTZE)の生長活性の高い新根と新芽における内生のインドール酢酸(IAA)とアブシジン酸(ABA)をHPLCを用いて検出定量した。これら両者の含量および比から茶樹の生育とホルモンとの関係を検討すると共に,根の生長を促進させるアルミニウム(A1)の効果との関係をも検討した。
茶樹の地上部休眠期において,新根中のIAAとABA含量は地上部生長期の両ホルモン含量より全般的に高かった。また新根の生長活性の高いものほどABAに対するIAA含量の比が低かった。根の生長はA1供与によって顕著に促進され,その生長度合は+A1, pH4.5>+Al, pH3.5>-Al, pH4.5>-A1, pH3.5であったが,IAA/ABA比は全く逆の順序であった。
茶樹の萌芽時新芽のIAAとABA含量は共に出芽部で最も高く,新芽の生長と共に減少した。茶芽の生長の盛んな一芯二葉ではIAA/ABA比が高く,根の場合とは逆であり,新芽生長活性の高いこととIAA/ABAの高いことに関連性があると推定された。

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