抄録
強い発ガン性を有するカビ毒であるアフラトキシン (AF) が輸入食品からしばしば検出される。そのほとんどは原産国で汚染が起きていると考えられているが、原産国から日本への輸送中に汚染される可能性も否定出来ない。そこで、これらの輸入食品の輸送に多用されているドライコンテナを用いた船での輸送中に汚染が起きる可能性があるかについて検討を行った。世界各地から日本へ12のルートで輸送された食品を搭載したドライコンテナ中の温度と湿度を測定し、その温度条件をモデル化した。滅菌した食品に水を加えて3段階の水分活性の食品を調製した。これらにAF産生菌を接種しモデル化した輸送温度条件下で保存して、AF産生が起きるかについて検討した。その結果、水分活性0.83まではAFは産生されなかったが、水濡れ事故に相当する水分活性0.99では高濃度のAFの産生が認められた。