CHEMOTHERAPY
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Cefmetazole (CS-1170) の抗菌作用に関する検討
生方 公子高橋 洋子沢井 稔斎藤 洪太紺野 昌俊
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1979 年 27 巻 4 号 p. 652-668

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抄録

Cephamycin系の新規抗生物質であるCefmetazoleについて, Cefazolin (CEZ) を比較対照薬剤として, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Serratia marcescene, Proteus vulgaris, Proteus morganiiおよびProteus iuconstansに対する殺菌効果を, 接種菌量によるMICの相違, 薬剤処理時の生菌数の変動ならびに菌の形態変化の上から観察し, 次の結果を得た.
上記の細菌に対するCefmetazoleの薬剤感受性は優れており, ことにCEZに耐性を示す菌種にも優れた感受性を示し, いずれの菌種においても10 8cells/ml接種時と106cells/ml接種時のMICの変動は少なかった。
薬剤処理時における菌の形態変化を観察すると, 菌は106cells/ml接種時のMIc付近の濃度からfilamentを形成し, 108cells|ml接種時のMIC付近の濃度でspheroplastを形成するが, 菌種にょっては速やかに溶菌するものや, spheroplastのまま残存するものがみられた。 また, Serratia marcescensProteus inconstansでは, 薬剤濃度によってはfilamentが形成された後, その先端から再分裂する像もみられたことから, Cefmetazoleはそれらの菌種から産生されるβ-lactamaseに必ずしも極めて強い安定性を示すとは思えない面もあった。
Serratia marcescensProteus inconstansの上記の現象は, 生菌数の経時的変動の成績からも推察され, 生菌の発育を完全に阻止するためには, 106cells/ml接種時のMICの8倍の濃度を必要とした. しかしながら, Cefmetazoleの殺菌作用はCEZと比較してそれほど遜色のあるものではなく, ことにCEZに耐性の菌にも優れた殺菌効果を示すことが明らかにされた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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