CHEMOTHERAPY
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尿路感染症の分離菌例からみたセファロスポリン剤投与による菌交代現象の解析
根橋 敏行原田 祐輔辻 明良金子 康子五島 瑳智子
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1979 年 27 巻 4 号 p. 704-711

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抄録

Cephalosporin剤投与後にP. aeruginosaによる菌交代がおこることは, すでに知られている。本研究は尿路感染症の患者にCeftezoleまたはCefazolin 1gを1日2回, 4日間連続投与した症例について投与前, 投与後の菌を分離し, 細菌学的効果をしらべるとともに, 菌交代現象例とS. marcescens, P. aeruginosaを分離した症例における患者因子について解析した。
分離菌のMIC値と細菌学的効果とが一致しない症例, すなわち, MIC 1, 600μg/ml以上の耐性を示しているのに菌が消失した症例の分離菌種は, とくにS. marcesoensが多く, 次にEnterobacter sp. であった。
両薬剤による菌交代現象は148例中, 28例 (18.9%) で, 主な交代菌はP. aeruginosa 12例, S. marcescens 4例であった。
S. marcesoensおよびP. aeruginosa分離症例の基礎疾患は腫瘍癌が多く, また留置カテーテル, 手術歴のある症例が多かった。これらの症例のほとんどは慢性疾患であるが, 菌交代現象例は急性複雑性疾患に多い傾向が認められた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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