2019 年 39 巻 1 号 p. 16-24
両心室ペースメーカーの左室(LV)リード植込み手技を行う前に冠静脈(coronary vein:CV)と左横隔神経(left phrenic nerve:LPN)の情報を得ることは植込み手技の戦略を立てるうえで重要である.今回,われわれは単純CTからCVとLPNの3D画像を作成し,その正確性について,20例のCRT植込み症例で検討した.評価方法については,CVは術中の造影画像と比較し,LPNはLVリードで横隔神経刺激が発生した部位と一致しているかを確認した.3D画像は全症例で作成でき,CVについては19/20例で一致,LPNは全10例で走行部位とペーシングでの横隔神経刺激発生部位が一致していたことから,3D画像は正確に描出できていると考えられた.単純CTから作成したCVとLPNの3D画像は,CRT植込みの術前に正確性の高い解剖学的情報を把握でき,有用である.(心電図,2019;39:16~24)