CHEMOTHERAPY
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呼吸器感染症に対する6059-SとCefazolinの二重盲検法による薬効比較試験成績
今野 淳他
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1982 年 30 巻 1 号 p. 25-60

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抄録

6059-Sの呼吸器感染症に対する臨床的有用性を, Cefazolin (CEZ) を対照薬とする二重盲検法により比較検討した。
投与量は6059-Sでは1日29 (19×2), CEZでは1日49 (29×2) とし, 14日間点滴静注し, 以下の結果を得た。
1. 細菌性肺炎, 肺化膿症群における小委員会判定による総合臨床効果では, 6059-S群で85.3%(64/75), CEZ群で84.4%(65/77) の有効率を示し, 両薬剤群間に有意の差は認められなかった。これを重症度別にみると, 軽症例においては6059-S群で92.9%(著効3/14, 有効10/14), CEZ群で100%(著効10/17, 有効7/17) の有効率となりCEZ群の方がU検定において有意に優れた成績であった。重症例においては, 6059-S群の有効率が85.7%(6/7) であるのに対し, CEZ群では42.9%(3/7) であった。
2. 主治医による総合臨床効果では, 細菌性肺炎, 肺化膿症群において, 6059-S群で84.4%(65/77), CEZ群で83.3%(65/78) の有効率を示し, 慢性気道感染症群においては6059-S群で67.6%(25/37), CEZ群で67.7%(21/31) の有効率を示した。いずれの場合も両薬剤群間に有意の差は認められなかった。
3. 細菌学的効果を起炎菌別の菌消失率でみると, グラム陽性球菌においては6059-S群で76.9%(10/13), CEZ群で85.7%(12/14) であり, グラム陰性桿菌においては6059-S群で72.2%(13/18), CEZ群で56.7%(17/30) であった。
4. 安全性の検討では, 副作用あるいは臨床検査値の異常変動の出現頻度に, 両薬剤群間に有意の差は認められなかった。
5. 主治医判定による有用性の検討では, 有用以上の評価を受けた例が, 6059-S群で78.9%(101/128), CEZ群で74, 6%(97/130) であり両薬剤群間に有意の差は認められなかった。
以上, 呼吸器感染症に対する6059-Sの有効性と安全性を総合的に評価すると, 6059-SはCEZの1/2の投与量でCEZと同等の成績を示し, 有用性の高い薬剤であると結論される。

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