CHEMOTHERAPY
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CINOXACINの急性単純性膀胱炎に対する臨床解価
Pipemidic acidを対照に用いた二重盲検比較試験
西村 洋司他
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1982 年 30 巻 1 号 p. 7-30

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抄録

米国Eli Lilly社で新しく開発されたキノロンカルボン酸系抗菌剤Cinoxacin (CINX) の女子急性単純性膀胱炎に対する有効性, 安全性および有用性についてPipemidic acid (PPA) を対照薬とした二重盲検試験を実施し, 比較検討した。
CINXの1日投薬量は400mg2分割とし, 対照薬のPPAは1日常用量の750mg3分割投薬とした。また投薬期間は, 両剤とも3日間連続とした。
総症例254例中除外.脱落42例を除く212例が総合臨床効果判定可能症例で, CINX群110例, PPA群102例であった。背景因子について両薬剤群間に特異な相違は検出されず, 両薬剤群の比較可能性を打消す差は認められなかった。
UTI薬効評価基準 (第2版) に準じて判定した総合臨床効果は, CINX群の場合110例中著効91例, 有効18例, 無効1例, すなわち著効率82, 7%, 有効率99.1%であり, PPA群の場合102例中著効78例, 有効23例, 無効1例すなわち著効率76, 5%, 有効率99.0%であった。著効率, 行効率ともに薬剤群間に有意水準5%で差は認められず, 両薬剤群ともに高い有効性を示した。また排尿痛, 膿尿および細菌尿に対する効果についても両薬剤群間に有意水準5%で差は認められなかった。
副作用はCINX群 (127例) に軽度のもの4例が認められ.発現頻度は3.1%であり, PPA群 (122例) には見られなかったが群間に差はなかった。
以上のことより, CINXは1日400mg2分割投薬でPPA750mg3分割投薬と同等の有効性, 安全性ならびに有用性が示唆され, 急性単純性膀胱炎の治療において有用であると考える。

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