CHEMOTHERAPY
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外科領域における9, 3''-diacetyl-midecamycin (MOM) の臨床試用成績ならびにその至適投与量の検討
酒井 克治藤本 幹夫上田 隆美平尾 智森本 健川畑 徳幸佐々木 武也沢田 晃土居 進政田 明徳川島 正好
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1982 年 30 巻 1 号 p. 75-85

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抄録

1. 外科領域における皮膚・軟部組織感染症92例に対してMOM1日量600mgまたは900mgを経口投与し, 次の結果を得た。両群を通じて92例中77例 (83.7%) に著効あるいは良好の治療効果が得られた。600mg投与群45例中著効24例, 有効15例, やや有効3例, 無効3例 (有効率86.7%), 900mg投与群47例中著効15例, 有効23例, やや有効5例, 無効4例 (有効率80.9%) で, 両群間に有意差を認めなかった。
2. 外科的処置群と無処置群との間では, MOMによる治療効果の上に差が認められなかった。
3. 病巣分離菌の除菌効果は, 600mg投与群の方がむしろ優れていた。
4. 副作用は発疹1例, 便秘1例, 口角炎1例で, 投与を中止したのは発疹の1例だけであった。
以上の成績から, MOMは外科的皮膚・軟部組織感染症に対して有用な新経口的抗生剤で, その1日投与量は, 通常600mgで充分であると考えられる。

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© 社団法人日本化学療法学会
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