CHEMOTHERAPY
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新セファロスポリン系抗生物質Ceftazidime (SN401) の抗菌力, 吸収, 排泄, 代謝, 臓器移行性および外科臨床応用について
中山 一誠秋枝 洋三川村 弘志川口 広石山 俊次
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1983 年 31 巻 Supplement3 号 p. 652-672

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抄録
Ceftazidime (CAZ, SN401) について基礎的, 臨床的検討を行なった。
抗菌スペクトルは広く, グラム陽性球菌についてはCMXより多少劣るが, グラム陰性桿菌についてはCMXより優れたスペクトルを示した。
病巣分離菌の抗菌力のうち, S. attreus, S. epidermidisでは他のセファロスポリン系およびセファマイシン系薬剤より劣るが, E. celi, K. pneumeniae, P. mirabilis, S. marcescens, Enterobacter, P. aeruginosaでは優れた抗菌力を示した。B. fragilisに関しても, CMZより優れた抗菌力を示した。
血中, 尿中濃度は健康成人3名に1.0g静注し, BioassayおよびHPLCにより測定した。血漿中濃度は投与後5分で平均101μg/ml (Bioassay), 117μg/ml (HPLC) の濃度を示し, 投与後10時間で0.97μg/ml (Bioassay), 0.6μg/ml (HPLC) の濃度を示した。尿中濃度は投与後30分でピークとなり平均6.834μg/ml (Bioassay), 8,000μg/ml (HPLC) の濃度を示し, 10時間までの平均尿中回収率は85.8%(Bioassay), 99.9% (HPLC) であった。HPLCの血中濃度について薬動力学的に検討した結果, K12 (hr-1): 0.78, K21 (hr-1): 1.26, Kel (hr-1): 0.91, T1/2 (β)(hr.): 1.51, AUC (hr・μg/ml): 144の値を得た。生体内代謝については, TLC, Bioautegramを用いて人尿について検討した結果, CAZは代謝されることなく排泄される。臓器内濃度はSD系ラットに20mg/kg筋注した成績では腎, 血清, 心, 肺, 脾, 肝, 筋肉の順であった。臨床成績は外科感染症35症例に本剤を使用し著効5例, 有効25例, 無効4例, 不明1例であった。副作用についてはGOTの上昇1例, GPTの上昇3例, GOTおよびGPTの上昇1例, 嘔吐1例を認めた。
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© 社団法人日本化学療法学会
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