CHEMOTHERAPY
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尿中抗生剤の濃度と細菌増殖抑制効果
Bladder modelによる検討
説田 修
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1984 年 32 巻 12 号 p. 985-999

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抄録

試験管内膀胱モデルを用いて, 生体における膀胱炎の場合と同様に活発に増殖する細菌に対して, 抗菌剤を生体の尿中濃度を模式化して作用させ, その細菌増殖抑制効果を抗菌剤の最高濃度と維持濃度の面から解析した。
被検菌は尿路由来のE. coli とし, 抗菌剤は ampicillin (ABPC), cefazolin (CEZ) および gentamicin (GM) を用いた。最高濃度の意義を検討する目的では, 各薬剤の1, 2, 5, 10, 20, 50 および 100 MIC 濃度を4時間作用させ, 維持濃度とくに必要最低維持濃度を検討する目的では, pulseadmimistration によって初期濃度が50もしくは 25 MIC 濃度となるようにし, 別途に 2, 1 および 1/2 MIC 濃度での持続投与を8もしくは16時間行なった。
その結果, GM では最高濃度の上昇によって細菌増殖抑制時間が著しく延長し, ABPC でも中等度に延長したが, CEZ では5 MIC 濃度以上では延長効果が見られなかった。
また, 初期高濃度投与による細菌増殖抑制効果を延長させるための必要最低維持濃度は, GM では初期濃度 50 MIC の場合は1 MIC 濃度, 初期濃度 25 MICの場合は 2 MIC 濃度と考えられ, ABPC ではともに 1 MIC濃度と考えられた。
以上により, GM では初期高濃度投与も重要であることが示唆され, ABPC でば低濃度での持続時間を長くする投与法が好ましいと考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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