CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
TA-058の基礎的臨床的研究
斎藤 玲加藤 康道石川 清文小田柿 栄之輔篠原 正英富沢 磨須美中山 一朗佐藤 清
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 180-190

詳細
抄録

新しいpenicillin系抗生物質TA-058について抗菌力, 体内動態および臨床効果について検討した。抗菌力は臨床分離のS. aureus, E. coli, P. aeruginosaの60株, P. mirabllis, P. morganiiの各20株について106cells/ml接種でMICを測定した。MICのピークはS. aureusでは12.5μg/ml, E. coliでは3.13μg/ml, P. mirabilisでは0.78μg/ml, P.morgantiでは3.13μg/ml, P. aeruginosaでは1, 56μg/mlで優れた抗菌力を示した。体内動態は2g静注を行った時の血中濃度と尿中排泄について, 6名の健康成人男子で検討した。血中濃度は静注5分後の平均値が263.3μg/mlであった。以後漸減して6時間では4.4μg/mlの濃度を示し, T/1/2 (β) は1.62時間であった。尿中排泄率は6時間までで76.1%の良好な排泄率であった。本試験において臨床生化学的諸検査を施行したが異常所見がなく, 忍容性が認められた。内科的感染症24例に本剤1回1~2gを1日2回点滴静注し, 5~15日間の投与で臨床効果を検討した。著効11例, 有効7例, やや有効3例, 無効3例で有効率75.0%を示した。副作用は1例に下痢が出現したが, 臨床検査値には特別な異常は認められなかった。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top