CHEMOTHERAPY
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TA-058の耳鼻咽喉科領域感染症に対する臨床試験成績
三辺 武右衛門上田 良穂岡田 淳稲福 盛栄
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1984 年 32 巻 Supplement2 号 p. 755-763

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抄録
TA-058に関し基礎的ならびに臨床的検討を行った。
1. 耳鼻咽喉感染症病巣分離菌に対するTA-058のMICを104cells/mlの接種菌量で検討した。S.aureusのMICめピークは糎313μg/mlにみられた。グラム陰性菌ではP.msrabiht, P.putrefaciens, E.cloacaeなどに対するMICは0.2~078μg/mlにあった。
2. 本剤注射後の血中濃度は比較的高濃度を示し, 6~8時間後でも有効濃度を維持することが認められた。
3. 組織内濃度について口蓋扁桃, アデノイド, 鼻茸, 鼻内粘膜, 上顎洞粘膜などについてみると, 500mg静注60分後には35μg/ml前後の濃度を保持し, 1,000mg投与例ではその2~3倍の高い組織内濃度が保持された。
4. 耳鼻咽喉感染症34例に本剤を使用し, 著効20例, 有効8例, やや有効1例, 無効5例の治療成績を収め, 有効率83.3%であった。
5. これら臨床例においては皮内反応陽性例はみられなかったが, 副作用症状として1例に全身に発疹がみられたが, その他には特に異常所見はみられなかった。
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© 社団法人日本化学療法学会
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