CHEMOTHERAPY
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呼吸器感染症に対するSulbactam/Cefoperazoneの臨床的検討
前川 暢夫中西 通泰倉沢 卓也武藤 真稲葉 宣雄小田 芳郎内平 文章種田 和清
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 293-298

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抄録

各種細菌による呼吸器感染症でCefoperazone (以下CPZ) が投与対象となるような10例にSulbactam/Cefoperazone配合剤を投与した。うち3例は, はじめCPZを単独投与し, 効果不十分なため本剤に切り替え投与した。
本剤のみを投与した7例では, 著効1 (慢性気道感染の急性増悪), 有効4 (肺炎3, 気管支肺炎1), 無効2 (肺炎1, 慢性気道感染の急増悪1) の臨床成績であった。CPZから本剤に切り替えた3例では, 有効2 (肺炎1, 慢性気道感染の急性増悪1), 無効1 (DPB) であった。
副作用は全例に認めず, 検査値にも本剤に起因する異常な変動は無かった。
無効の3例はいずれも緑膿菌が起炎菌であった症例で, うち2例は基礎疾患 (DPB, 気管支拡張症) のため著明な呼吸不全があり, 多量の膿性痰と呼吸困難を呈し, 緑膿菌は数年前から持続的に陽性で従来の抗緑膿菌剤もすべて無効であった。他の1例は肺癌のため切除術と照射を2年前に行ない, 以後感染をくり返している患者である。
分離菌の感受性検査では, H. influenzaeおよびEnterbacter cloacaeではMICはCPZより本剤がすぐれ, P. aeruginosaではCPZがすぐれていた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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