CHEMOTHERAPY
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Sulbactam/Cefoperazoneに関する基礎的・臨床的研究
鈴山 洋司中里 博子古賀 宏延富田 弘志渡辺 講一田中 光小森 宗敬伊藤 直美藤田 紀代重野 芳輝斉藤 厚原 耕平山口 恵三松瀬 真澄美賀来 満夫
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 355-367

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抄録

広範囲なスペクトラムをもつセファロスポ1) ン系抗生剤のCefoperazone (CPZ) とPfizer社で開発されたβ-lactamase阻害剤であるSulbactam (SBT) との1: 1配合剤であるSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) についての基礎的・臨床的研究を行ない, 次の結果を得た。
1) 抗菌力
各種臨床分離株10菌種240株に対するSBT/CPZおよびSBTの最小発育阻止濃度 (MIC) を求め比較検討した。SBT/CPZとCPZの抗菌活性を比較すると, 50%阻止濃度ではCPZ単独の方がS. marcescensを除く他の菌種に対し約1管程優れていたが, 100%阻止濃度ではE. coli, P. morganii, C. freundii, P. rettgeri, P. inconstansなどで, SBT/CPZの方が1~3管優れていた。SBT単独では, ほとんど抗菌活性はみられなかった。
2) 慢性気道感染症患者における血中および喀疲内移行濃度
本剤2gを点滴静注した場合の最高血中濃度は, 点滴終了時にみら才しCPZ71~130μg/ml, SBT20~58μg/mlであった。また最高喀疲内移行濃度は, CPZ5.6μg/ml, SBT8.8μg/mlであった。
3) 臨床成績
呼吸器感染20例 (慢性気管支炎3例, 気管支拡張症7例, 肺のう胞症2例, 肺炎6例, 肺化膿症1例, 胸膜炎1例) に本剤1回1~2g, 1日1~2回, 7~14日間投与したときの有効率は80%であった。副作用としては, 1例に軽度のS-GOT, S-GPTの上昇がみられた。

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