CHEMOTHERAPY
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Sulbactam/Cefoperazoneに関する基礎的・臨床的研究
松本 慶蔵野口 行雄田口 幹雄永武 毅隆杉 正和坂本 立羽吉田 俊昭力富 直人渡辺 貴和雄
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 368-375

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抄録

β-ラクタマーゼ阻害剤SulbactamとCefoperazoneの1: 1の合剤に関する研究を行った。慢性気道感染症の病原菌のB.catarrhalis47株のMIC分布 (106cfu/ml接種) はSulbactam0.2~>100μg/ml, Cefoperazone0.05~3.12μg/mlに対し, 本合剤では0.013~0.78μg/mlと抗菌力の増強が認められた。一方, 非病原性Neisseria105株のMIC分布 (106cfu/ml接種) はSulbactam0.39~>100μg/ml, Cefoperazone0.025~6.25μg/mlに対し, 本合剤では0。006~1.56μg/mlとB. catarrhalis程には抗菌力の改善は認められなかった。慢性細気管支炎の2例で本合剤の血清中濃度と喀痰中濃度の測定を行った。喀痰中移行率はSulbactam (1例のみ測定可) で1.6%, CPZで1.9~3.0%であった。両剤とも気管支分泌型と推測された。
急性肺炎1例, 慢性気管支炎4例, 気管支拡張症1例, 慢性細気管支炎3例, 急性腎盂腎炎1例に本合剤1回0.5~2g, 1日1~2回, 3~10日間の点滴静注を行い, 全例除菌され, 臨床的に有効以上の成績を得た。起炎菌はS. pneumoniae2例, H. influenzae5例, B. catarrhalis1例, M. momganii1例であった。B. catarrhalisはβ-ラクタマーゼ産生菌で, β-ラクタマーゼ非抵抗性ペニシリンの投与て無効であったが, 本合剤の投与で有効であった症例である。副作用は投与中止後無処置で改善した下痢を1例に認めた。compromised hostにおけるβ-ラクタマーゼ産生グラム陰性桿菌感染症にも投与し得ると思われた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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