CHEMOTHERAPY
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Sulbactam/Cefoperazoneの外科領域における基礎的・臨床的検討
露木 建相川 直樹奥沢 星二郎石引 久弥
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 404-412

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抄録

Sulbactam (SBT) とCefoperazone (CPZ) を1: 1に配合した合剤Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) を外科的感染症13例と術後感染予防11例に使用し, その基礎的・臨床的検討を行った。
投与方法は本剤1回1~2gを1日2~3回, 生理的食塩水100mlに溶解し30分間で点滴静注した。総投与量は8~649, 投与期間は4~16日であった。
外科的感染症13例に対する臨床効果は, 有効6例, やや有効2例, 無効5例であった。また11例の胃癌術後予防投与症例については, いずれも術後感染症の発症はみなかった。
基礎的検討として, 胃癌根治術後の腹腔内浸出液への薬剤移行を測定した。腹腔内浸出液量は1日目から経日的に減少傾向を示した。浸出液中のSBT濃度は本剤2g/日投与または49/日投与でほほ安定した移行を示した。一方CPZの浸出液中濃度は本剤29/日投与で4μg/ml前後の値を示したのに対して, 4g/日投与では12~15μg/mlとなった。SBTの安定した腹腔内浸出液への移行とCPZのin vitroの抗菌特性の成績からみて多くの菌種に対し効果か期待できるものと考えられた。
副作用としては, 予防投与例の1例で本剤投与と関連あると考えられる皮膚発疹を経験した。他は自・他覚症状ならびに検査成績上本剤と直接関連のあると思われる異常所見は認めなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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