CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
SulbactamとCefoperazoneの併用によるin vitro抗菌作用について
西野 武志中沢 季美大槻 雅子谷野 輝雄
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 51-65

詳細
抄録

β-lactamase inhibitorであるsulbactam (SBT) をcefoperazon (CPZ) と併用した場合のin vitro抗菌作用について検討を行い, 以下の成績を得た。
1. 教室保存株に対する抗菌スペクトラムについて検討したところ, SBTは全ての菌株に対して25μg/ml以上のMIC値を示し, 単独では抗菌力が弱いことがわかった。
SBTとCPZを1: 1の比率で併用した場合, 108cells/ml接種ではCPZ感受性菌に対してCPZのMICに影響を与えず, CPZ耐性の
Escherichia coli, Proteus vulgaris, Citrobacter等に対し, CPZのMICの低下を認めた。
2. 臨床分離のStaphylococcus aureus, E. coli. Klebsiella pneumoniae, P. vulgarisについてSBTとCPZの併用効果をchecker board dilution methodにより検討した結果108cells/ml接種では両薬剤の併用により著名な協力作用が見られたが, 106cells/ml接種ではCPZが感受性となり, 両剤の協力作用が現われにくくなる傾向が認められた。
3. CPZ耐性のS. aureus, E. coli. K. pneumoniae, P. vulgarisに対するSBTとCPZの併用による抗菌作用型式について検討したところ, それぞれ単独では静菌的な作用しか示さない濃度を併用した場合に, 著明な殺菌作用が見られ, 両薬剤間の協力作用を確認することができた。
4. 位相差顕微鏡によりSBTのE. coliに対する形態変化について検討を行ったところ, MICに近い濃度では菌体は非常に長く伸長化し, filament状の形態を示した。
5. E. coli K-12におけるペニシリン結合蛋白質に対する親和性について検討を行ったところ, SBTは2, 3, 1Aに強い親和性を示した。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top