CHEMOTHERAPY
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SulbactamおよびSulbactam/Cefoperazoneの毒性試験
野口 晏弘橘 正克菜畑 博司飯島 護丈山河 静子大槻 勲夫
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1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 97-107

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抄録

SBTおよびSBT/CPZについて急性毒性, 亜急-生毒性およひ慢性毒性試験を実施した。
(1) ラット, マウスにおけるSBT, SBT/CPZのLD50値は, 静脈内, 腹腔内, 皮下投与のいずれにおいても6000mg/kg以上であり, 急牲毒性は弱かった。
(2) ラット静脈内亜急性毒性試験ではSBT単独30~1200mg/kg, SBT/CPZ併用の300/300,600/600mg/kgを30日間投与した。SBT300mg/kg以上の群では肝重量の軽度増加がみられ, 肝細胞内にPAS陽性物質の沈着が用量に相関して認められた。その程度は, 雌では雄よりも軽度であった。しかし, GOT, GPTなどには影響はみられず毒性的な意義は低いと考えられた。一方, SBT/CPZ併用群 (300/300,600/600mg/kg) では肝重量の増加もなく, PAS陽性物質の沈着もSBT単独よりも少なかった。
盲腸膨大がSBT群, SBT/CPZ群で認められたが, その程度はSBT群ではSBT/CPZ群に比較して明らかに軽度であった。SBTの最大無作用量は100mg/kgであった。
(3) ラット慢性毒性試験では, SBT単独25~500mg/kg, SBT/CPZ併用500/500,500/250,250/500mg/kg, CPZ単独250,500mg/kgを6ヵ月間腹腔内投与した。成績は亜急性毒1生試験と本質的な差はみられなかった。すなわち, 肝重量の増加がSBT500,250mg/kg群 (雄) で認められたが, SBT/CPZ群 (500/500mg/kg) では軽度であり, SBT500, 250mg/kg群での肝細胞内PAS陽性物質の沈着もSBT/CPZ群では軽微であった。また, SBT群では盲腸の膨大か認められたが, その程度はSBT/CPZ群よりも軽度であった。この試験でのSBTの最大無作用量は50mg/kgであった。また, SBTとCPZとを併用した場合, 毒性は増強されないことを確認した。

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