CHEMOTHERAPY
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T-3262長期投与のイヌ糞便内細菌叢におよぼす影響
渡辺 邦友加藤 直樹武藤 吉徳沢 赫代沢村 治樹上野 一恵
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1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p. 121-125

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抄録

新ピリドンカルボン酸系の抗菌剤であるT-3262のイヌに対する25mg/kg/日, 100mg/kg/日の3ヵ月投与および6ヵ月投与がイヌ腸内細菌叢におよぼす影響を検討した。 また400mg/kg/日6ヵ月投与し, 中止後1ヵ月たったイヌ腸内細菌叢の回復の様子を検討した。
本剤25mg/kg/日の3カ月投与は, 嫌気性菌および好気性菌総菌数に大きな影響を及ぼすことはなかった。しかし細菌叢の質的変動を見ると, 好気性菌ではEnterobaoteriaceaeが検出限界以下に, 嫌気性菌ではFusobaoterium spp.が検出限界以下に減少していた。さらに6ヵ月投与後の糞便内細菌叢も嫌気性菌および好気性菌の総菌数の点では3ヵ月目と大きな変化はなかった。Enterobacteriaoeaeは依然検出限界以下であったが, Fusobacterium spp.の菌数は増加傾向を示した。
100mg/kg/日投与でも25mg/kg/日投与の場合とほぼ同様の変動を示した。
本薬剤400mg/kg/日6ヵ月間投与し, 中止後1カ月たったイヌの腸内細菌叢では, 総菌数およびEnterobacteriaceaeの菌数が無投与群に比しやや多い傾向を見たものの, 投与を受けなかったイヌのそれと殆ど異ならない細菌叢の構成を示した。検査したすべての糞便は, Clostridium difficile分離陰性, C. difficile毒素陰性であった。

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