CHEMOTHERAPY
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新ピリドンカルボン酸系抗菌剤T-3262の各種動物における吸収・分布・代謝および排泄
保田 隆渡辺 泰雄南 新三郎熊野 克彦高木 伸一恒田 礼子金山 淳子
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キーワード: T-3262, 吸収, 分布, 代謝, 排泄
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1988 年 36 巻 Supplement9-Base 号 p. 149-157

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抄録

各種実験動物におけるT-3262の吸収・分布・代謝および排泄について検討した結果, 以下の成績が得られた。
各種動物にT-3262 100mg/kgを経口投与した時の最高血中濃度はマウス〈イヌ〉ウサギ>ラットの順に高く, いずれも持続的に推移した。ラットの各種組織中へも良好に移行し, 血中濃度と同様持続的に推移したが, 脳には検出されなかった。ウサギ髄液中移行は他剤に比べ低く, その血清比はenoxacin (ENX), ofloxacin (OFLX) の1/3~1/4であった。尿中排泄率はマウスで21.1%, ラットで11.5%, ウサギで15.2%, イヌで2.7%であった。またラットにおける胆汁中排泄率は活性体として0.13%であった。本剤の吸収には食事の影響がみられ, 摂餌群の方が絶食群に比べ若干高値を示した。ラットに本剤を連続投与 (100mg/kg×2/day) した時の血中濃度, 尿中排泄率および組織内濃度には, 初回投与時と12回投与時の間に差は認められなかった。D-ガラクトサミンで作製した肝障害ラットにおける血中濃度および尿中排泄率は正常群に比べ高値を示した。一方, 塩化第二水銀で作製した腎障害ラットにおける血中濃度は正常群に比べ高く持続的であったが, 尿中排泄率は低値を示した。なお, 尿のパイオオートグラムではT-3262以外の抗菌活性物質は認められなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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