CHEMOTHERAPY
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Astromicinの気管支肺胞系移行に関する検討
宮井 正博坪田 輝彦浅野 健夫
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1989 年 37 巻 10 号 p. 1258-1263

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抄録

気管支肺胞洗浄法を用いてアミノ配糖体系抗生物質astromicin (ASTM) の気管支肺胞系移行を検討した。ASTM200mg筋注1時間後, 生理食塩水100mlで気管支肺胞洗浄を行なった。対象症例16例のASTM濃度は血清で8.96±2.49μg/ml, 気管支肺胞洗浄液で0.10±0.06μg/mlであった。気管支肺胞洗浄液中のASTM濃度は肺癌群, 慢性炎症群および間質性肺炎群の3群間に有意差を認めなかった。ASTMの気管支肺胞系への移行性は前回報告したcefmenoximeとほぼ同等であり, 血清および気管支肺胞洗浄液の両方でASTM/アルブミン比が検討できた11例中6例において血清よりも気管支肺胞洗浄液の方が高値をとり, ASTMは気管支肺胞系への移行がよいものと考えられた。また同一症例においては炎症の増悪期には気管支肺胞洗浄液中ASTM濃度は安定期の数倍の値を示した。

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© 社団法人日本化学療法学会
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