CHEMOTHERAPY
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わが国における各種感染症のclindamycinとaztreonamの併用療法に関する研究
Clindamycin, aztreonam併用療法研究会
斎藤 厚上田 泰
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キーワード: 併用療法
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1989 年 37 巻 10 号 p. 1264-1276

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抄録

全国138施設において, 注射用clindamycin-2-phosphate (CLDM) 1日1,200~2,400mgとmonobactam系抗生物質aztreonam (AZT) 1日2~49を原則として7日間併用し, 多数例における細菌感染症に対する有効性と安全性を検討し, 以下の成績が得られた。
1. 呼吸器感染症277例をはじめ各種感染症638例と術后感染予防224例に使用されたが, 臨床効果は638例のうち判定不能27例を除く611例について行なわれ, 副作用, 臨床検査値異常は全例862例について解析された。
2. 患者背景は男性354例, 女性257例で60歳以上の高齢者は311例 (50.9%), 何らかの基礎疾患を有するものが394例 (65.1%) で, 入院患者が578例 (94.6%) を占めた。
3. 感染症の程度は中等症以上の症例が534例 (91.6%) とほとんどを占め, いわゆる難治性で重症度の高い症例が多くを占めた。
4. 併用薬剤の1日量はCLDM1,200mg/日とAZT2.09/日が全体の半数以上を占めた。
5. 臨床効果は肺炎 (210例) 74.8%を含め, 呼吸器感染症 (277例) において74.0%, 敗血症 (80例) において55.0%, 胆道感染症 (70例) において88.6%, 全症例 (611例) において77.7%の有効率が得られた。
6. 基礎疾患の有無により有効率に有意差 (P<0.001) がみられ, 基礎疾患を有するもの394例中71.6%, ないもの211例中89.6%の有効率であった。感染症の重症度別でも中等症85.4%, 重症62.5%と有効率に有意差 (P<0.001) がみられた。
7. 細菌学的臨床効果はグラム陽性球菌, 嫌気性菌検出例47例中76.6%, グラム陰性桿菌に対して54例中74.1%の有効率であった。
8. 両剤の抗菌力が及ばない, あるいはやや弱いEnterococcus faecalis, Pseudomonas aeruginosa検出例における有効率はそれぞれ33.3%, 50.0%と低いものであった。
9. 副作用は862例中13例 (1.5%) と極めて低いものであった。皮疹8例が最も多いもので, その他消化器症状などが主なものであった。口内苦見感を訴えた1例はCLDMによるものと推定された。いずれも重篤なものではなかった。
10. 臨床検査値異常は18例 (2.1%) と極めて低いものであった。S-GOT, S-GPT上昇が主なものであったが, 中止あるいは治療継続によりほとんどが正常に復し, 重篤なものはみられなかった。

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