CHEMOTHERAPY
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5-Fluorouracil (5-FU) と大量ロイコボリン併用療法のphase I study
大江 裕一郎新海 哲江口 研二佐々木 康綱田村 友秀藤原 康弘児島 章山田 耕三中川 和彦福田 正明西條 長宏
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キーワード: 肺非小細胞癌
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1989 年 37 巻 10 号 p. 1277-1281

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抄録

大量ロイコボリン併用時の5-FUのdose-limiting toxicity (DLT) およびmaximum tolerateddose (MTD) を決定するためにphase I studyを施行した。対象症例は手術不能で他に有効な治療法がない, 肺非小細胞癌8例, 大腸癌の肺転移3例で年齢は43~77歳, 平均62.0歳, 男性8例, 女性3例でPS (ECOG) は0~1が8例, 2が2例, 3が1例であった。ロイコボリン500mg/m2を2時間で点滴静注し, 半量投与時に5-FUを急速静注した。これを週1回行ない5~6週間で1クールとした。はじめに5-FU600mg/m2から投与を開始して, 次に800mg/m2に増量した。5-FU 600mg/m2を5例に投与したところ, 1例にグレード3の貧血を認めたが他に重篤な副作用はみられなかった。次に, 6例に対して5-FU 800mg/m2を投与したところグレード3~4の骨髄毒性および下痢, 口内炎を認め, 1クール終了したのは3例のみであった。また, 5-FU800mg/m2の投与を受けた, シスプラチン無効肺腺癌の1例にPRを認めた。以上の結果から, 大量ロイコボリン併用時の5-FUのdose-limiting toxicity (DLT) は骨髄毒性および下痢, 口内炎であった。5-FUのmaximum tolerated dose (MTD) は800mg/m2, 週1回以下であり, phase II studyへのrecommended doseは600mg/m2, 週1回と考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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