CHEMOTHERAPY
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癌患者の術後好中球機能に対するcefpimizole, latamoxef投与の影響について
八木田 旭邦織田 俊立川 勲桂 卓也緒方 幸雄村田 定三奥西 昌彦
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1989 年 37 巻 10 号 p. 1282-1289

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抄録

CPIZ投与時の好中球機能に及ぼす影響を健常人および手術施行癌患者を対象として検討した。
健常人における検討ではcefpimizole (CPIZ) 投与前, および1g静脈内投与2, 7時間目に採血し好中球の大腸菌に対する殺菌能を測定したところ, その亢進が認められ, この傾向は若年齢群 (20~30歳) に比べ高年齢群 (50~60歳) で著明であった。また, 高年齢群において薬剤投与前, および19静脈内投与2時間目の好中球のケミルミネッセンス (CL), およびNBT還元能を測定したところ, これらの亢進が認められた。
手術施行癌患者における検討では, CPIZまたはlatamoxef (LMOX) を1回1~2g, 1日2回, 術中より術後6~10日目まで投与し, 投与前, 投与期間中および投与後に採血し好中球機能を測定した。CPIZ投与期間中, CLおよび大腸菌に対する殺菌能の亢進が認められた。一方, 対照薬として使用したLMOXでは, 投与期間中CLおよび殺菌能の減少が認められた。また, CLと大腸菌に対する殺菌能には高い相関性 (r=0.78) が認められた。遊走能および大腸菌に対する貧食能はLMOX投与症例で一過性の亢進があった他は, 大きな変動は認められなかった。
以上の結果より, CPIZの好中球機能活性化は臨床投与例において発現し, 特に殺菌能に対し強い影響を及ぼすことが示唆された。

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© 社団法人日本化学療法学会
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