CHEMOTHERAPY
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肝胆道系術後感染予防について
Cefotiamとcefpiramideの効果の比較
村元 雅行品川 長夫水野 章石原 博毛利 紀章桜井 敏福井 拓治保里 恵一真下 啓二花井 拓美高岡 哲郎由良 二郎
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キーワード: 感染予防, 肝胆道系手術, CTM, CPM
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1989 年 37 巻 4 号 p. 440-445

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抄録

1986年4月より1987年11月までに肝膿道系定期手術を施行した100例を対象とし, 術後感染予防としての抗生物質の効果について比較検討した。比較した薬剤は, cefotiam (以下CTM) とcefpiramide (以下CPM) である。第1回投与は, 無作為に割り付けられた薬剤の2gを手術開始と同時に点滴静注した。第2回以後は, CTMは8時間毎に1gを, CPMは12時間毎に1gを点滴静注し, 合計4日間投与した。解析対象は対象外手術の5例を除き, CTM群46例, CPM群49例であった。平均年齢, 男女比, 対象疾患, 対象手術および術前の臨床生化学検査値などの背景因子については両群に有意差は認められなかった。術後感染症の発症率は, CTM群9例 (19.6%), CPM群3例 (6.1%) であり, CPM群で低い傾向が認められた (P<0.1)。薬剤の副作用および臨床検査値の変動についても両群間に有意差は認められなかった。以上より肝胆道系手術では1日2回投与のCPMは1日3回投与のCTMと比較して投与が簡単であり, 感染予防薬として有用であると考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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