日本化学療法学会雑誌
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Grepafloxaclnの体内動態 (II)
ラットにおける [14C] Grepafloxacinの吸収, 分布, 排泄
秋山 仁阿部 佳史楠本 直俊小富 正昭F. P. StewartR. Hopkins田野倉 吉則M. C. Thonoor
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キーワード: 吸収, 分布, 排泄, ラット
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1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 107-124

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抄録
[14C] Grepafloxacinをラットに40mg/kgの用量で単回あるいは反復経口投与時の放射能の吸収, 分布および排泄について検討し, 以下の成績を得た。
1) 雄性ラットに絶食下単回投与すると, 速やかに吸収され血液中濃度は投与後1時間で最高濃度に達した。また非絶食下より絶食下の方が高い推移を示した。反復投与後の血液中濃度において消失の遅延は認められなかった。
2) 雄性ラットに絶食下単回投与後のほとんどの組織内濃度は投与後0.5~2時間で最高濃度に達した。ほとんどの組織内濃度は血漿中濃度より高濃度で, 良好な組織移行性が示唆された。また反復投与後96時間では, ほとんどの組織において放射能は検出されなかった。これらは全身オートラジオグラムにおいても同様であった。
3) 体内動態に性差は認められなかった。
4) ラット, ウサギおよびヒト血漿蛋白へのin vitroにおける結合率は38~52%程度であり, 濃度依存性は認められなかった。またラットにおけるin vivoでの結合率は41.8~43.0%で, in vitroでの結合率とよく一致した。
5) 放射能の主な排泄経路は胆汁を介した糞中であった。また腸肝循環の可能性が示唆された。さらに反復投与期間中における排泄率の変化は認められなかった。
6) 胆管を結紮した雄性ラットにおいては, 主な排泄経路は尿中であった。
7) 妊娠ラットにおいて胎盤通過性が示唆された。また授乳中のラットにおいて高い乳汁移行性が認められた。
8) 有色ラットに投与後168時間において, 毛, 眼球に放射能の残留が認められた。
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