日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
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43 巻, Supplement1 号
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  • 分部 浩和, 三橋 進
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 1-11
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいキノロン系抗菌薬grepafloxacin (GPFX) のin vitro抗菌活性をsparfloxacin (SPFX), cip-rofloxacin (CPFX), ofloxacin (OFLX) と比較検討し以下の結果を得た。
    1. GPFXは, グラム陽性菌からグラム陰性菌まで強い抗菌力と, 幅広い抗菌スペクトラムを有していた。グラム陽性菌に対しては, SPFXと同等でありCPFX, OFLXより優れていた。また, グラム陰性菌に対しては, CPFXより弱くSPFX, OFLXと同程度の活性を有していた。
    2. GPFXは, MIC濃度で殺菌的に作用した。
    3. GPFXは, マグネシウムイオンの存在, および培地のpHが酸性側で活性の低下が観察された。
    4. GPFXは, 接種菌量が高くなると抗菌力が低下した。
    5. GPFXの自然耐性菌の出現頻度は低かった。
    6. GPFXは, Escherichia coli由来のDNA gyraseのスーパーコイリング活性を強く阻害した。
  • 桑原 京子, 神田 佳代子, 横田 健
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 12-19
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Grepafloxacin (GPFX) の Staphylococcus aureus, methicillin-resistant Staphylococcus aureus, coagulase-negative staphylococci, Streptococcus pyogenes, β-streptococci, Streptococcus pneumoniae, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium, Escherichia coli CS2 (+), Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas cepacia, Xanthomonas maltophilia, Acinetobacter calcoaceticus, ampicillin (ABPC)-resistant Haemophilus influenzaeおよびBacteroides fragilisの14~50臨床分離株に対するMIC90は, それぞれ, 0.1, 0.2, 0.2, 0.39, 0.39, 0.39, 0.78, 6.25, 0.78, 0.1, 0.39, 0.78, 1.56, 12.5, 6.25, 1.56, 3.13, 12.5, 1.56, 0.78, 6.25,<0.013および6.25μg/mlであった。
    GPFXのグラム陽性菌に対する抗菌力は, ciprofloxacin (CPFX), ofloxacin (OFLX) およびnorfloxacin (NFLX) よりも強くtosufloxacin (TFLX) と同程度であった。グラム陰性菌に対してはOFLXと同程度であったが, P. aerngimosaに対しては, OFLXより優れていた。またK. pneumoniae, X. maltophilia, A.calcoaceticusおよびABPC-resistant H. influenzaeに対しては比較薬剤中最も優れていた。
    血清・補体との協力作用は顕著ではなかったが, マウス培養Mφとの協力作用はGPFX1/8MIC以上の存在下でE. coli NIHJ JC-2の生細胞をよく食菌消化した。CHO-Kl, HeLaおよびIMR32細胞に対する細胞毒性はCPFXよりも強く, GPFX 10μg/mlで各細胞増殖を50%抑制した。しかし, IMR32細胞にGPFX 5μg/mlを添加してもその神経突起に影響を与えなかった。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次, 田中 節子, 中根 豊, 福本 寅雄
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 20-28
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    グラム陽性の標準菌株, および1993年に当所において検出した臨床分離グラム陽性菌に対するgrepafloxacin (GPFX) の抗菌スペクトルと抗菌活性を検討することを目的に, 対照薬剤を加えた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1. 供試したグラム陽性菌多菌種に対する試験薬剤のMIC測定結果からは, GPFXのグラム陽性菌に対する強い抗菌活性が示唆された。そして, methicillin (DMPPC) 耐性Staphylococcus aureus subsp. aureus, およびbenzylpenicillin低感受性または耐性Streptococcns pneumoniaeに対するGPFXのMIC90は, 対照薬剤としてのofloxacin (OFLX), norfloxacin, ampicillin, cefaclor, cefpodoximeに比較して, その値が最も小さかった。しかし, DMPPC-感性S. aureusのOFLX耐性株に対するGPFXのMICは上昇しており, Corynebacterium spp. などにおいてもそうした結果が認められることから, 他のフルオロキノロン耐性グラム陽性菌にはGPFXにも交叉耐性が生じ得ることが示唆された。
    2. GPFXは, グラム陽性菌に対する抗菌力が強いことから, 市中感染症における第一次選択剤としての展望を示すものと考えられた。
  • 今田 拓磨, 五島 瑳智子, 宮崎 修一, 山口 惠三, 桑原 章吾
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 29-41
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系抗菌薬grepafloxacin (GPFX) のin vitro, in vivo抗菌作用をofloxacin (OFLX), enoxacin (ENX), ciprofloxacin (CPFX), およびtosufloxacin (TFLX) と比較検討し, 以下の結果を得た。
    GPFXは広範囲な抗菌スペクトラムを有し, methicillin耐性Staphylococcus aureus (MRSA) を含Staphylococcus属, Enterococcus属およびStreptococcus属に対する抗菌力は, TFLXと同等の強い抗菌力を示した。腸内細菌科の菌種に対する抗菌力は, CPFX, TFLXに比べやや弱いが, Haemophilus influenzae, Neisseria gonorrhoea等のグラム陰性菌に対しては, 試験薬剤中もっとも強い抗菌力を示した。
    マウス全身感染モデルに対するGPFXの治療効果は, S. aureus Smith, S. aureus TMS 33, Streptococcus pneumoniaeでは, TFLXよりやや劣り, Escherichia coli C-11, Klebsiella pneumoniae 3K25, Pseudomonas aeruginosa E7に対しては, 対照薬剤より優れた治療効果を示した。K. pneumoniae 3K 25, S. pneumoniae TMS 3, S. aureus Smithを感染菌とする経鼻肺感染モデルにおけるGPFXの治療効果はTFLXより優れていた。尿路感染モデル (P. aeruiinosa KU-1) においては, GPFXはCPFXと同等の優れた治療効果を示した。
    GPFXのマウス血清中, 肺内および腎内濃度を測定したところ, 血清中濃度は他剤に比べ低いが, 肺内, 腎内濃度は, 他剤に比べ高濃度で分布することが分かった。
  • 加藤 直樹, 加藤 はる, 田中 保知, 田中 香お里, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 42-49
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新キノロン薬であるgrepafloxacin (GPFX) の偏性嫌気性菌及び一部の通性嫌気性菌に対するin vitro抗菌力を検討した. 比較薬剤として10mefloxacin (LFLX), onoxacin (OFLX), cipronoxacin (CPFX) 及びnorfloxacin (NFLX) を用い比較検討した. 参考菌株を用いた検討において接種菌量によるMICの変化はほとんど認められなかった. GPFXは嫌気性菌のグラム陽性およびグラム陰性の球菌, 桿菌に対し幅広い抗菌スペクトラムを示した. Bacteroides fragilis groupの菌種に対してGPFXはCPFX, OFLXと同等の強い抗菌力を示し, LFLX及びNFLXより強い抗菌力であった. また他のBaotmides spp., Prevotella spp. 及びFlusobacterim spp. ではGPFXはCPFX, OFLXと同等かやや弱く, LFLX, NFLXより強い抗菌力であった. グラム陽性菌に対するGPFXの抗菌力は強く, Mobiluncus spp, では比較薬剤の中で最も強い抗菌力を示した. 臨床分離株でも同等の成績であり, Bacteroides ragilisに対するGPFXの抗菌力は, MIC50で1.56μg/ml, MIC90では25μg/mlであった. Bacteroides thetaiotaomicronを始め他のB. fragilis groupの菌種に対し, GPFXは比較薬剤の中で最も強い抗菌力を示しMIC50は3.13μg/ml以下であった. グラム陽性菌ではPeptostreptococcus anaerobius, Peptostreptococcus magnus, Peptostreptococcus asacchanlytiousに対し, GPFXは, OFLX, CPFXと同等の抗菌力を示した. またClostridium perfringens, Mobiluncus spp., Gardnerella vaginalis の臨床分離株に対し比較薬剤中最も強い抗菌力を示し, そのMIC90はそれぞれ0.39, 0.10及び3.13μg/mlであった.
  • 西野 武志, 米田 裕光, 井上 理緒, 梛野 健司, 大槻 雅子
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 50-69
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規合成化学療法剤grepafloxacin (GPFX) のin vitroおよびin vivoにおける細菌学的評価をnorfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) を比較薬として検討し, 以下の結果を得た。
    GPFXはグラム陽性菌群, グラム陰性菌群および嫌気性菌群に対して幅広い抗菌スペクトルを有し, その抗菌力はグラム陽性菌群および嫌気性菌群においては, 試験薬剤中最も優れており, グラム陰性菌群ではNFLXおよびOFLXよりも優れていた。
    臨床分離株に対するGPFXの抗菌力は, グラム陽性菌群およびMoraxella catarrhalis, Acinetobacter calcoaceticus, Haemophilus influenzaeにおいては最も優れており, Proteus属を除く, 他のグラム陰性菌群ではCPFXとOFLXの中間の抗菌力を示した。OFLX耐性を示すStaphylococcus aureus, Enterococcus faecalisおよびPseuaononas aerugimsaにおける抗菌力は他剤と同様, 抗菌力の低下を示した。
    GPFXの抗菌力に及ぼす諸因子の影響は S. aureus, Escherichia coli, P. aeruginosaおよびA. calcoaceticusを用いて検討したが, いずれの菌種においても培地の影響, 接種菌量, 馬血清添加および金属イオンの影響は認められなかった。培地pHの影響ではアルカリ性側で抗菌力の増強がみられた。
    S. aureus, E. coliおよび P. aeruginosaの増殖曲線に及ぼすGPFXの影響を検討したが, いずれの場合も1MIC以上で殺菌的に作用した。
    GPFX作用後の形態変化を観察したところ, S. aureusにおいては菌体の膨化が, E. coliにおいては菌体の伸長が認められた。またP. aeruginosaにおいてはスフェロプラスト様構造および溶菌像が観察された。A. calcoaceticusにおいては菌体の伸長と同時に膨化が認められた。
    マウス実験的全身感染症に対するGPFXの治療効果を S. aureus, Stnptococcus pneumoniae, E. coli, Klebsiella pneumoniae, P. aeruginosa, A. calcoaceticuを用いて検討した。S. aureus, S. pneumoniae, A. calcoaceticusにおいては最も優れた治療効果を示し, 他の菌種についてはCPFXと同様の治療効果を示した。
    マウス実験的呼吸器感染症に対するGPFXの治療効果では, K. pneumoniaeにおいてはOFLX と同程度の治療効果を示し, S. pneumoniaeに対しては最も優れた治療効果を示した。
  • 永山 在明, 中尾 偕主
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 70-73
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規なニューキノロン系合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) のChlamydia traohomatisに対するin vitro抗菌力を, 他の4種類のニューキノロン系合成抗菌薬およびminocycline (MINO) の抗菌力と比較検討した。また, 培養細胞を用いて, C. trachouatisの封入体形成に対するGPFXおよびMINOの影響を透過型電子顕微鏡を用い観察した。
    C. trachomatis標準株 (D, EおよびF) 並びに非淋菌性尿道炎患者由来の40株の臨床分離株に対するMIC値は, GPFX; 0.06~0.125μg/ml, temafloxacin (TMFX); 0.125~0.25μg/ml, tosufloxacin (TFLX); 0.125~0.25μg/ml. ofloxacin (OFLX); 0.5~1.0μg/ml, levofloxacin (LVFX); 0.25~0.5μg/mlおよびMINO; 0.03~0.06μg/mlであった。
    比較した6薬剤のなかではMINOのMICが最も小さく, クラミジア感染症の治療薬として優れていることが抗菌力の点からも伺えた。ニューキノロン系合成抗菌薬のなかではGPFXが最も強い抗菌力を有し, MINOの1/2の抗菌力であった。抗菌力の強さは, GPFX, TMFX, およびTFLX, LVFX, OFLXの順であった。
    GPFXは優れた組織内移行性を示すことが報告されており, 今回得られた強い抗菌力から, クラミジアによる非淋菌性尿道炎および性器感染症に対して有用な治療薬として期待される薬剤であると推察された。
  • 大黒 絹枝, 分部 浩和, 東 敦, 向井 典江, 今田 拓磨, 米田 裕光, 大西 久子, 蔵本 美香, 宮本 寿, 大森 和則, 玉岡 ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 74-90
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン薬grepafloxacin (GPFX) のin vitroおよびin vivo抗菌力について検討し.以下の結果を得た。
    1. GPFXは好気性菌及び嫌気性菌に対し幅広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力を有していた。
    2. 臨床分離菌株に対するGPFXの抗菌力は, グラム陽性菌では比較薬剤中最も強い抗菌力を示し, グラム陰性菌ではCPFXに次ぐ抗菌力であった。
    3. GPFXは各種測定培地, 培地のpH, 接種菌量, 血清添加および金属イオンの影響をほとんど受けなかったが, 培地の酸性pHおよび高濃度の金属イオン存在下で, わずかに抗菌力の低下が認められた。
    4. GPFXはMIC以上の濃度で用量依存的に殺菌作用を示し, MICとMBCの差は小さく, 殺菌的に作用した。
    5. GPFXに対する自然耐性菌の出現頻度は低く, 継代培養による耐性も獲得しにくかった。
    6. GPFXはEscherichia coli由来のDNA gyraseにより, DNAから超螺旋型DNA生成する反応を強く阻害した。
    7. GPFXのpost antibiotic effect (PAE) はStaphylococcus aureus FDA 209Pで2時間, E. coli NIHJ JC-2 で1.6時間であり, CPFX同様に比較的長かった。
    8. マウス実験的感染症に対するGPFXの治療効果は, グラム陽性菌では比較薬剤のなかで最も強く, グラム陰性菌ではCPFXと同等もしくは優れた効果を示した。
    以上のin vitroおよびin vivo抗菌作用の検討成績より, GPFXは呼吸器感染症をはじめ各種細菌感染症に対して, 有用な薬剤であることが示唆された。
  • 向井 典江, 大森 和則, 玉岡 寿, 菊地 幹雄, 秋山 仁, 小富 正昭
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 91-98
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Grepanoxacin (GPFX) の体液内濃度測定法をbioassay法及びHPLC法を用いて検討した。Bioassay法では被検菌にBacillus subtilis ATCC6633を, 検定培地に普通寒天培地を用いた薄層カップ法を標準法と設定した。血漿中濃度測定には正常ヒト血漿及び1/15Mリン酸緩衝液pH7.4を用い, 尿中濃度測定には1/15Mリン酸緩衝液pH7.0を用い検量線を作成することとした。本法での測定下限濃度は0.012~0,025μg/mlであった。HPLC法では血漿及び尿サンプルにクロロホルムを添加し, GPFXを抽出した。この抽出されたGPFXを逆相カラムに注入し, 蛍光検出器で測定した。変動係数は血漿中濃度が0.01-1.00μg/mlの範囲で4.4%以下, 0.025~5.00μg/mlの範囲で3.5%以下であった。尿中濃度では0.25~50, 00μg/mlの範囲で4.0%以下であった。第一相臨床試験におけるヒト血漿中濃度及び尿中濃度ともにbioassay法とHPLC法の間に良好な相関性が確認された。
  • HPLC法による各種動物における吸収, 分布, 排泄
    秋山 仁, 阿部 佳史, 小池 正己, 急式 和代, 藤尾 直希, 小富 正昭, 向井 典江, 大森 和則
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 99-106
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規ニューキノロン系抗菌薬grepafloxacinをラット, マウス, サル, イヌおよびウサギに経口あるいは静脈内投与後の吸収, 分布および排泄について検討し, 以下の結果を得た。
    1) ラット, マウス, サル, イヌに20mg/kg, ウサギに18.6mg/kgの用量で単回経口投与後, 最高血漿中濃度 (Cmax) はそれぞれ1.36, 1.11, 2.28, 2.61および0.68μg/mlで, イヌが最も高く, 次いでサルであり, ラットとマウスは同程度であった。またabsolute bioavailabilityはそれぞれ54, 69, 76, 81および16%であり, イヌが最も高く, 次いでサルであり, ウサギは他の動物に比べ低い値であった。
    2) ラットおよびマウスに10, 20および40mg/kg, サルに5, 10および20mg/kgの用量で単回経口投与後のCmaxおよびAUCには, ともに良好な用量依存性が認められた。
    3) ラットに40mg/kg, サルに10mg/kgの用量で1日1回7日間反復経口投与した際, いずれにおいても消失の遅延は認められなかった。
    4) イヌに静脈内bolus-infusion投与し, 血漿中濃度と脳脊髄液中濃度が平衡になった時点での各濃度を測定した結果, 脳脊髄液中濃度/血漿中濃度の比はα30であり, 中枢神経系への移行性は低いことが確認された。
    5) 脳以外の組織内濃度は, いずれの組織においても血漿中濃度より高濃度であり良好な組織移行性を示した。特に肝臓, 腎臓および肺において高い分布が認められた。
    6) ラット, サルおよびイヌに20mg/kg, ウサギに18.6mg/kgの用量で単回経口投与後48時間までの尿中排泄率はそれぞれ8.09, 10.15, 6.93および3.09%であった。
  • ラットにおける [14C] Grepafloxacinの吸収, 分布, 排泄
    秋山 仁, 阿部 佳史, 楠本 直俊, 小富 正昭, F. P. Stewart, R. Hopkins, 田野倉 吉則, M. C. Th ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 107-124
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    [14C] Grepafloxacinをラットに40mg/kgの用量で単回あるいは反復経口投与時の放射能の吸収, 分布および排泄について検討し, 以下の成績を得た。
    1) 雄性ラットに絶食下単回投与すると, 速やかに吸収され血液中濃度は投与後1時間で最高濃度に達した。また非絶食下より絶食下の方が高い推移を示した。反復投与後の血液中濃度において消失の遅延は認められなかった。
    2) 雄性ラットに絶食下単回投与後のほとんどの組織内濃度は投与後0.5~2時間で最高濃度に達した。ほとんどの組織内濃度は血漿中濃度より高濃度で, 良好な組織移行性が示唆された。また反復投与後96時間では, ほとんどの組織において放射能は検出されなかった。これらは全身オートラジオグラムにおいても同様であった。
    3) 体内動態に性差は認められなかった。
    4) ラット, ウサギおよびヒト血漿蛋白へのin vitroにおける結合率は38~52%程度であり, 濃度依存性は認められなかった。またラットにおけるin vivoでの結合率は41.8~43.0%で, in vitroでの結合率とよく一致した。
    5) 放射能の主な排泄経路は胆汁を介した糞中であった。また腸肝循環の可能性が示唆された。さらに反復投与期間中における排泄率の変化は認められなかった。
    6) 胆管を結紮した雄性ラットにおいては, 主な排泄経路は尿中であった。
    7) 妊娠ラットにおいて胎盤通過性が示唆された。また授乳中のラットにおいて高い乳汁移行性が認められた。
    8) 有色ラットに投与後168時間において, 毛, 眼球に放射能の残留が認められた。
  • サルおよびイヌにおける [14C] Grepafloxacinの吸収, 排泄
    秋山 仁, 小富 正昭, F. P. Stewart, R. Hopkins, 堀 勝行, 市毛 一美
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 125-130
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    [14C] Grepafloxacinをサルおよびイヌに20mg/kgの用量で単回経口投与時の放射能の吸収および排泄について検討し, 以下の成績を得た。
    1) サルにおける平均血漿中放射能濃度は, 投与後2時間に最高濃度3.29μgeq./gに達した後, 5.9時間の生物学的半減期で減少した。投与後48時間までのAUCは39.6μgeq.h/gであった。血液中放射能濃度は血漿中放射能濃度の0.8~1.3倍で推移した。
    2) イヌにおける平均血漿中放射能濃度は, 投与後2時間に最高濃度4.80μgeq./mlに達した後, 3.8時間の生物学的半減期で減少した。投与後24時間までのAUCは38.3μgeq.h/mlであった。血液中放射能濃度は血漿中放射能濃度の0.9~1.2倍で推移した。
    3) サルおよびイヌ血漿蛋白へのin vitroにおける結合率は41~48%程度であり, 濃度依存性は認められなかった。またサルおよびイヌにおけるin vivoでの結合率は45.7~47.5%で, in vitroでの結合率とよく一致した。
    4) サルにおいて, 投与後120時間までの放射能の尿および糞中排泄率は, それぞれ投与量の13.1%および54.1%であった。
    5) イヌにおいて, 投与後168時間までの放射能の尿および糞中排泄率は, それぞれ投与量の16.0%および80.3%であった。
  • ラット, サルおよびヒトにおける代謝
    秋山 仁, 小池 正己, 急式 和代, 鈴木 敬, 楠本 直俊, 森田 清司, 小富 正昭
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 131-149
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Grepafloxacin (GPFX) あるいは [14C] GPFXを経口投与後のラット, サルおよびヒトにおける代謝について検討し, 以下の成績を得た。
    1) ヒト尿およびラット尿, 胆汁を用いて代謝産物を検索し, グルクロン酸抱合体2種 (3-Glucuronideおよび4'-Glucuronide), 硫酸抱合体1種 (4'-Sulfate), 3-メチルピペラジン環が代謝された代謝産物4種 (DM-1704, DM-1705, DM-1706, DM-1725) およびキノリン環5位メチル基の水酸化された代謝産物2種 (DM-1722, DM-1723) を単離同定した。
    2) ヒト血漿中における主代謝産物はDM-1705であった。尿中では投与後72時間までに代謝産物として, 3-Glucuronide (4.0% of dose, 以下同様), 4'-Glucuronide (3.5%), DM-1705 (3.0%), DM-1704 (1.3%), 4'-Sulfate (1.0%) およびDM-1706 (0.2%) が認められた。糞中では投与後72時間までに代謝-産物として, DM-1705 (2.6%), DM-1704 (2.1%), DM-1725 (1.9%), DM-1706 (1.8%) および4'-Sulfate (1.3%) が認められた。
    3) 雄性および雌性ラット血漿中における主代謝産物はいずれにおいても3-Glucuronideであった。尿中における主代謝産物は, 雄性ラットではDM-1723, 雌性ラットでは3-Glucuronideであった。また糞中における主代謝産物は, いずれにおいても4'-Sulfateであった。さらに雄性ラット胆汁中における主代謝産物は3-Glucuronideであった。一方, 雄性ラット肺内ではGPFXが肺内総放射能濃度の90.5%以上認められ, 代謝産物はほとんど認められなかった。
    4) サル血漿中における主代謝産物はDM-1704であった。また尿中における主代謝産物はDM-1704, 糞中における主代謝産物は4'-Sulfateであった。
  • 堀 誠治, 嶋田 甚五郎
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 150-154
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    キノロン薬が痙攣誘発作用を有する可能性が指摘されている。我々はキノロン薬が中枢神経系において抑制性伝達物質と考えられているγ-アミノ酪酸 (GABA) の受容体結合を阻害することを示し, キノロン薬による痙攣誘発にGABA受容体結合阻害の関与している可能性を不してきた。また, 非ステロイド系消炎薬の共存下ではキノロン薬によるGABA受容体結合阻害効果が増強されることを示してきた。新キノロン薬であるgrepafloxacin (GPFX) の痙攣誘発作用の有無を検討する目的で, 本薬のGABA受容体結合に及ぼす影響を検討した。GPFXは他のニューキノロン薬と同様濃度依存的にGABA受容体結合を阻害し, そのGABA結合阻害の強さは今回検討したニューキノロン薬の中で中間に位置していた。しかし, 非ステロイド系消炎薬の共存によりGABA受容体阻害効果は殆ど増強されなかった。以上のin vitroの成績より, GPFXは単独では他のニューキノロン薬と同様に痙攣誘発作用を有する可能性が示唆された。その程度は他薬に比べ中等度であろうと考えられた。また, GPFXは非ステロイド系消炎薬の併用時でも痙攣誘発作用の増強されにくい薬物である可能性が示唆された。
  • 中島 光好, 植松 俊彦, 長嶋 悟, 小菅 和仁, 金丸 光隆
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 155-175
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康成人男子を対象に, 新合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の臨床第一相試験を行い, 安全性と体内動態について検討した。
    空腹時単回投与群では, 10, 25, 50, 100, 200, 300および400mgを経口投与し, 反復投与群では, 300mg (1日1回) および200mg (1日2回) を7日間経口投与した。また, 食事の影響も, 200mg単回投与群で検討した。
    被験者延べ47例において, 自他覚症状として頭痛3例, 頭重感1例, ふらつき感1例, 口内苦味1例, 臨床検査値の異常変動としてBUN, GPT上昇が各1例認められたが, いずれも軽度であった。その他の自他覚症状, 血圧, 脈拍数, 体温, 心電図, 血液一般検査, 血液生化学検査, 尿検査および平衡機能検査において, GPFXの投与と関連性のある異常所見は認められなかった。
    GPFX経口投与時の血漿中濃度推移は用量依存性が認められ, 100,200,300および400mgの最高血漿中濃度 (Cmax) は, それぞれ0.41, 0.66, 0.99および1.62μg/mlであった。また, 血漿中のβ相における消失半減期 (T1/2) は11~12.5時間で, 72時間までの累積尿中排泄率は10~12.6%であった。また, 糞便中には投与後72時間までに投与量の31.5%が未変化体として排泄され, 尿および糞を合わせた回収率は投与量の41.2%であった。食後投与は, 空腹時投与に比し, 最高血中到達時間 (Tmax) は約1.2時間遅れるが, Cmaxおよび血漿中濃度時間曲下面積 (AUC0~∞) はほぼ同程度であり。本剤は食事による影響がないものと考えられた。200mg単回投与時の唾液中への検討で, 移行率は投与後1.5~4時間で約0.4~0.6を示し, 投与3時間後に唾液中の最高濃度に達した。また, 反復投与時の血漿中濃度は, 両試験ともに投与4日目以降定常状態に達し, 蓄積性は認められなかった。以上の成績より, GPFXは安全性に問題なく臨床評価を実施することが可能であると考えられる。
  • 上野 一恵, 加藤 直樹, 渡辺 邦友, 和田 光一, 渡辺 恂子, 水谷 潤
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 176-183
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規キノロン薬であるgrepafloxacin (GPFX) 200mgを1日2回7日間経口投与した時のヒト腸内細菌叢に及ぼす影響を糞便中の細菌を検索することにより検討した。同時にClostridium difficileの菌数の変動についても検討した。GPFX投与前後に便の性状を観察し, また薬剤投与前。投与4日目, 最終投与翌日, 7日目, 14日目および28日目に糞便の定量培養を実施した。
    GPFX投与による糞便中の好気性菌及び嫌気性菌共に総菌数の変動はほとんど見られなかった。GPFX投与後に変動が見られた菌種は主にEnterobacteriaceae, Streptococcus/Entemoms spp.であったが, 投与終了後元の腸内細菌叢に回復した。一部の被験者に一過性にC. difficileの出現が見られたが, 1例を除き投与終了後に検出されなくなった。
  • 二木 芳人, 中島 正光, 橋口 浩二, 中林 美枝子, 玉田 貞雄, 沖本 二郎, 副島 林造
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 184-189
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口pyridone・carboxylicacid系合成抗菌薬grepaflomin (GPFX) のtheophylline血中濃度に及ぼす影響を, 5名の健康成人男子ボランティアを用いて検討した。
    あらかじめ4日間, 1日400mgの徐放性theophylhne製剤を投与して, 4日目に前採血を行いcontrol値とした。その後5日間にわたってGPFXを1日200mg (朝1回内服) にて併用投与し, 併用3日目, 5日目に採血して, theophylline血中濃度をcontrol値と比較した。
    併用3日目のtheophylline血中濃度は, 最高値で1.29倍, AUCで1.31倍control値より上昇を認め, total body clearanceは0.76倍と低下した.併用5日目では各々のparameterの変化率は1.28, 1.33, 0.74倍で, 3日目と著差を認めなかった.
    1例で併用第1日目より, theophylline単独投与時から訴えていた, 手指の振戦, 熱感の軽度増強を認めたが, 中止には到らなかった。
    以上の結果, GPFXは, theophyllineとの併用でその血中濃度を軽度上昇させ, その程度はcipronoxacinやtosufloxacinと同等と考えられた。
  • 河田 幸道, 伊藤 康久, 山田 伸一郎, 蟹本 雄右, 岡田 謙一郎, 斎藤 功
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 190-193
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    腎機能障害患者におけるgrepafloxacin (GPFX) の体内動態を検討し, 以下の結論を得た。
    GPFX200mg単回投与後の平均最高血中濃度は, 軽度障害群 (90≧Ccr>60) では4.3時間後に0.46μg/ml, 中等度障害群 (60≧Ccr>30) では4.4時間後に0.54μg/ml, 高度障害群 (30≧Ccr) では5.9時間後に0.37μg/mlであり, 血中消失半減期はそれぞれ11.2, 12.8, 13.0時間, AUCはそれぞれ6.31, 7.51, 5.96μg/mlであった。
    72時間までの尿中回収率は軽度障害群で6.9%, 中等度障害群で7.4%, 高度障害群で3.0%と, 高度障害群で僅かに低下した。
    これらの成績から, GPFXは主に胆汁中に排泄され, その体内動態は腎機能障害による影響を受けにくく, したがって腎機能障害例においてもとくに投与量, 投与間隔を調節する必要はないものと考えられた。
  • 齋藤 玲, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 佐藤 清
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 194-198
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたニューキノロン系抗菌薬であるgrepanoxacin (GPFX) の抗菌力ならびに臨床効果について検討した。
    抗菌力については臨床分離株7菌種209株について106接種でMICを測定した。本剤のMIC50Staphylococcus aureus 0.09μg/ml, Escherichia coli 0.09μg/ml, Klebsiella pneumoniae 0.09μg/ml, Serratia marcescens 1.56μg/ml, Proteus mirabilis, 0.19μg/ml, Morganella morganii, 0.09μg/ml, Pseudomonas aeruginosa 0.78μg/ml であった。MIC90E. coli 0.09μg/ml, K. pneumoniae 0.19μg/ml, M. morganii 0.19μg/ml, P. mirabilis 0.39μg/ml で, この4菌種に良い抗菌力を示した。
    臨床的検討では, 13名の呼吸器感染症患者 (気管支炎8例, 慢性気管支炎の急性増悪2例, 気道二次感染3例) に対して1日100~300mgを7~14日間投与し, 臨床的検討を行った。有効11例, やや有効1例, 投与後来院していない不明1例であった。副作用および臨床検査値異常変動 (不明の1例を除く) は, 全例において認められなかった。
  • 大道 光秀, 平賀 洋明, 平川 美智子
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 199-205
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新たに開発されたニューキノロン系抗菌薬grepafloxacinの呼吸器病原菌に対する抗菌力ならびに呼吸器感染症に対する臨床効果ならびに有用性について検討し, 下記の結果を得た。
    呼吸器感染症の臨床分離株, Staphylococcus aureus 10株, Streptococcus pileumoniae 17株, Streptococcus sp. 12株, Klebsiella pneumoniae 6株, Pseudomonas aeruginosa 13株, Acinetobacter calcoaceticus 4株, Haemophilus sp. 16株 Moraxella catarrhalis 4株の計82株に対する本剤のMIC90S. aureus 0.1μg/ml, S. pneumoniae 0.39μg/ml, Streptococcus sp. 0.39μg/ml, K. pneumoniae 0.78μg/ml, P. aeruginosa 3.13μg/ml, A. calcoaceticus 0.78μg/ml, Haemophilus sp.≦0.006μg/ml, Mcatarrhalis 0.012μg/mlであった。
    急性肺炎3例, マイコプラズマ肺炎4例, 急性気管支炎1例, 慢性気管支炎5例, 気管支拡張症ならびに気管支喘息の二次感染各1例, 肺気腫の二次感染2例の計17例に対し, 200mgまたは300mgを1日1回, 7~14日間投与した。
    臨床効果は, 著効2例, 有効12例, やや有効2例であった (初診以後来院せずの1例は除外)。また, 投与量別では, 200mg/day投与の6例は, 全例有効以上であり, 300mg/day投与の10例は, 8例が有効以上であった。
    細菌学的効果は, 分離されたHaemophilus influenzae 2株, M. catarrhalis, S. pneumoniae, S. aureus各1株の計5株が消失し, P. aeruginosa 1株が減少した。
    副作用は, 全例に認められなかった。臨床検査値異常は, 1例に白血球の減少が, 2例に好酸球増多が認められたが, いずれも軽微であり問題となるものではなかった。
  • 渡辺 彰, 菊地 宏明, 庄司 聡, 高橋 洋, 徳江 豊, 本宮 雅吉, 貫和 敏博, 本田 芳宏, 中井 祐之, 新妻 一直, 滝沢 茂 ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 206-216
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Grepanoxacin (GPFX) の抗酸菌を含む呼吸器由来8菌種に対する抗菌力を他のキノロン薬と比較検討すると共に喀痰移行を検討し, 呼吸器感染症に対する本剤の臨床効果, 細菌学的効果, 安全性を検討した。Staphylococcus aureus (MSSA, MRSA), Haemophrlus influenzae, 腸内細菌科の各菌種 (Escherrchia coli, Klegsrella pneumoniae, Enterogacter cloacae, Serratra marcescens), Pseudomuas aerugrnosa, Mycobacterium tuberculosisに対する本剤の抗菌力はMRSAとS.marcescensを除いてofloxacinと同等か2~4倍強かった。呼吸器感染症8例に本剤200mgを経口投与した際の喀痰への最大移行比は161%であった。肺炎9例, 慢性気管支炎4例, 気管支喘息+感染3例, 気管支拡張症+感染6例の計22例に本剤を1日200~300mg, 7~14日投与して著効6例, 有効12例, やや有効2例, 無効2例であった。本剤投与前にStreptococcus pmumonrae 3株, H.influenzae 5株, E.coliK.pneumoniae, P.aerugrnosa及びXanthomonas maltophilia各1株の計12株を分離し, 投与後にはP.aerugrnosaを除く11株が除菌された。副作用は1例もなく, 好酸球増多とGPT上昇を各1例に認めたが, 投与終了時にいずれも改善した。各種細菌に抗菌力が強く, 喀痰移行に優れるGPFXは呼吸器感染症に対する有力な第一次選択薬剤と考えられる。
  • 大石 明, 中村 守男, 金子 光太郎, 坂内 通宏, 青崎 登, 勝 正孝
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 217-224
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Grepanoxacin (GPFX) の基礎的および臨床的検討を行い以下の知見を得た。
    基礎的検討ではグラム陽性菌 (methicillin-susceptible Staphylococcus aureus, methicillin-resistant Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Enterococcus faecalis) およびグラム陰性菌 (Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Pseudomonas aeruginosa, Acinetobacter calcoaceticus, Moraxella catarrhalis, Haemophilus influenzae) に対するGPFXのMICを他のニューキノロン系抗菌薬 (ofloxacin, cipronoxacin, tosufloxacin, sparfloxacin) およびclavulanicacid/amoxicillin, cefixime, cefteram pivoxilと比較検討した。GPFXのグラム陽性菌に対するMICrangeは≦0.05~1.56μg/mlの範囲にあり. MIC90値は, 0.78μg/ml以下の優れた抗菌力であった。一方, グラム陰性菌に対するMICrangeはE.coliの≦0.05~12.5μg/ml, P.aeruginosa の0.2~100μg/mlを除いてはすべて≦0.05~3.13の範囲にあり, 比較薬剤中同等またはより低い値であった。MIC90値は, P.aeruginosa の25μg/mlを除いては, 0.78μg/ml以下の優れた抗菌力であった。
    臨床的検討では, 呼吸器感染症20例にGPFXを1日300mg分2で3~7日間投与し, 著効6例, 有効8例, やや有効3例, 無効3例 (有効率は70%) であった。副作用は口渇・便秘を1例に認めたが投与中止後, 自然軽快した。臨床検査値の異常変動は認めず, 本剤は安全であり, かつ有用な薬剤であることが確認された。
  • 佐野 靖之, 宮本 康文, 荒井 康男, 菊池 典雄, 後藤 美江子, 後藤 元, 島田 馨
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 225-232
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系経口用合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) についてin vitro pharmacokinetic systemを用いた抗菌活性の検討および呼吸器感染症に対する臨床的有用性について検討を行った。
    1. In vitro pharmacokinetic systemを用い, GPFX200mgおよび300mg内服時の薬剤血中動態をシミュレートし, Staphylococcus aureus FDA209 P JC-1, Streptococcus pneumoniae IID553, Escherichia coli NIHJ JC-2, Haemophflus influenzae IID984, およびPseudomomas aeruginosa IFO 3445に対する抗菌活性を検討した。
    各菌種の生菌数は2~8時間までに減少し, S.pneumoniaeならびにH.influenzaeでは200mg, 300mgモデルともに再増殖は認められず, E.coliでは300mgモデルでは再増殖は認められず, P.aeruginosaにおいては300mgモデルの方が200mgに比較して生菌数は減少し再増殖も遅く, 用量差の傾向が認められた。
    2. 呼吸器感染症30例にGPFXを1日100mg~600mg投与し, その有効性および安全性について検討した。疾患別の臨床効果 (有効以上) は, 咽頭炎1/1例, 肺炎4/4例 (マイコプラズマ肺炎1例を含む), 急性気管支炎2/2例, 慢性気管支炎18/20例, びまん性汎細気管支炎3/3例であり, 全体の有効率は93.3%(28/30例) であった。
    起炎菌を特定し得たのは7例で, 4菌種9株が分離同定された。菌種別の細菌学的効果 (消失率) はS.pneumoniae 5/5株Enterobacter cloacae 1/1株H.influenzae 1/1株, P.aeruginosa 0/2株であった。
    自他覚的副作用は, ふらふら感1例, ふらふら感・めまい感の1例の計2例が認められたが, 前者は投与継続中, 後者は投与中止後に消失した。臨床検査異常変動では, 好酸球増多1例, GOT上昇2例, GPT上昇2例がみられたが, 一過性の軽度なものであった。
  • 坂本 光男, 中澤 靖, 前澤 浩美, 吉川 晃司, 吉田 正樹, 柴 孝也, 酒井 紀, 斎藤 篤
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 233-238
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたニューキノロン系の合成抗菌薬であるgrepafloxacinに関して, 臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. 体内動態
    本剤の腎排泄機序を知る目的で, 健常成人男子6名を対象にprobenecid併用時および単独時の体内動態をcross-over法で比較検討した。その結果本剤は, probenecid併用により血漿中濃度および尿中濃度に影響を受けず, 腎排泄機序は主として糸球体濾過によるものと推察された。
    2. 臨床成績
    尿路感染症3例および呼吸器感染症4例の計7例の外来患者を対象として本剤の有効性ならびに安全性について検討した。
    その結果臨床効果は, 尿路感染症では3例中3例が著効, 呼吸器感染症では4例中2例が著効, 2例が有効であった。副作用は全例において認められなかったが, 臨床検査値異常として1例に軽度のGOT, GPTの上昇を認めた。
  • 中谷 龍王, 坪井 永保, 成井 浩司, 中森 祥隆, 中田 紘一郎, 稲川 裕子
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 239-243
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症7例にgrepafloxacin (GPFX) を投与し, その臨床効果と安全性を検討した。対象は全例気道感染症であり, その内訳は気管支拡張症5例 (うち1例はKartagener症候群), 気管支喘息びまん性汎細気管支炎各1例であった。投与量は100mgないし300mgを1日1~2回投与した。
    臨床効果は, 6例中有効3例, やや有効1例, 無効2例であった。細菌学的効果は, Haemophitus influenzae 2株は消失, Pseudmonas aemginosa 3株は存続した。1例で投与4時間目に頭痛・腰痛・胸部不快感が出現したが, 30分で消失した。本剤による副作用と思われた。臨床検査値異常は見られなかった。Kartagener症候群の1例で本剤の血清・喀痰中の薬動力学的検討を行なった。300mg投与後の最高濃度到達時間は血清では3時間, 喀痰中では4時間であり, ピーク値はそれぞれ1.18μg/ml, 2.31μg/mlであった。喀痰中最高濃度の血清中最高濃度に対する比率は196%であった。
    GPFXは血清の約2倍の濃度で喀痰中に移行しており, 呼吸器感染症における有用性が示唆された。
  • 戸塚 恭一, 柴田 雄介, 菊池 賢, 長谷川 裕美, 清水 喜八郎
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 244-248
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新キノロン薬grepafloxacin (GPFX) の白血球減少マウス大腿感染モデルにおける投与法の検討を行った。黄色ブドウ球菌感染症に対してGPFXはofloxacin (OFLX) と比較して強い殺菌作用と長いeffective regrowthtime (ERT) を示した。肺炎桿菌に対してはOFLXは殺菌作用は優れていたが, 血中半減期が短いためにすぐに再増殖した。GPFXでは投与回数の違いによる極端な菌数の増減はみられず, 24時間後にはOFLXに比しややよい効果を示した。マウスにおけるGPFXとOFLXの皮下投与による薬物動態ではGPFXはOFLXと比較して血漿中のCmaxは低く, T1/2が長く, AUCは低かった。しかし, 筋肉組織中のAUCはほぼ同等の値であった。これらは, GPFXの長い血中半減期と優れた組織移行性を示唆しており, 感染モデルでの治療効果を反映したものと考えられる。
  • 宮司 厚子, 大谷津 功, 斧 康雄, 宮下 琢, 西谷 肇, 徳村 保昌, 杉山 肇, 山口 守道, 青木 ますみ, 芳賀 敏昭, 国井 ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 249-254
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたニューキノロン系抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の臨床分離株に対する抗菌力をnornoxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) と比較検計し, また内科領域の感染症に対する臨床的有用性について検討した。
    Methicillin-susceptible Staphylococcus aureus (MSSA), methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae については, すべてNFLX, OFLX, CPFXと比較して優れた成績であった。
    Pseudomonas aeruginosaについては, CPFXに約1段階劣っていたが, NFLX, OFLXよりは優れていた。
    臨床的には, 急性咽喉頭炎1例, 急性気管支炎4例, 急性腎孟腎炎2例, 急性膀胱炎1例および慢性複雑性尿路感染症2例の計10例に本剤を1回200~300mgを1日1~2回, 3~15日間投与した。
    臨床効果は, 判定不能の2例を除く8例中, 著効1例, 有効5例, 無効2例であった。
    安全性については, 2例に副作用を認め, その内容は, 悪心・頭痛1例と口渇感1例であった。また, 臨床検査値の異常は1例に軽度のGPT, Al-p上昇が認められた。しかし, これらの副作用および臨床検査値の異常は軽度なものであり臨床上特に問題となるものではなかった。
  • 小林 芳夫, 内田 博, 森 茂久, 木崎 昌弘, 池田 康夫
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 255-258
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用キノロン系抗菌薬であるgrepafloxacin (GPFX) の基礎的検討を行う目的でStaphylococcus aureus, Escherichia coliおよびKlebsiella pneumoniaeの各々の臨床分離株に対する抗菌力を検討した。14株のmecA遺伝子陰性S. aureusに対するGPFXの最少発育阻止濃度 (MIC) は0.025μg/mlから0.2μg/mlに分布していた。一方mecA遺伝子陽性の39株のS. aureusに対する本剤のMICは2峰性に分布し23株に対しては0.05μg/mlから0.2μg/ml, 16株に対しては6.25μg/mlから25μg/mlのMICであった。対照薬剤との抗菌力の優劣ではmecA遺伝子の有無にかかわらずtosufloxacin (TFLX) には若干劣るもののnorfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX) およびfleroxacin (FLRX) よりは優れていた。E. coli37株ならびにKlebsiella pneumiae 19株に対するGPFXのMICは, それぞれ0.006μg/mlから0.2μg/mlおよび0.025μg/mlから0.2μg/mlに分布し, ともにTFLXには若干劣るもののNFLX, OFLXおよびFLRXよりは優れていた。本剤を投与した急性咽頭炎3例および急性気管支炎2例の計5例の患者では4例有効, 1例がやや有効であった。本剤の投与による副作用および臨床検査値の異常変動は認められなかった。
  • 宍戸 春美, 林 孝二, 永井 英明, 三宅 修司, 川上 健司, 倉島 篤行, 佐藤 紘二
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 259-265
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン薬grepafloxacin (GPFX) について, 胸水貯留患者における胸水中移行を検討すると共に, 呼吸器感染症に対する臨床的有用性を評価し, 体内動態を含め呼吸器感染症に対する本剤の適応を考察した。
    胸水貯留の認められる患者3例におけるGPFXのHPLC法での胸水中移行率 (ピーク血中濃度に対する最高胸水中濃度の比) は, 33.3~50.5%(平均43.5%) であった。Bioassay法でも同様の成績が得られた。
    呼吸器感染症24例を対象に, GPFXを経口投与して本剤の臨床的有用性を検討した結果, その有効以上の有効率は95.7%と優れていた。細菌学的効果はStaphylococcous aureus5株中の3株, Haemophilus influenzae3株中の3株, Klebsiella pneummiae1株中の1株, Pseusomomas aerugimsa3株中の2株, Xanthomnas mltophilia1株中の1株, およびCorynebacterium sp, 1株中の1株などが消失した。全体では, 起炎菌の消失率が84.2%(16/19) であった。全24例中, 副作用が認められた症例はなかった。臨床検査値異常としては, 1例に軽度のS-GOTおよびS-GPTの上昇が認められた。
    GPFXは, 呼吸器感染症に対する臨床的有用性の高いニューキノロン薬であると結論される。
  • 小田切 繁樹, 鈴木 周雄, 高橋 宏, 高橋 健一
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 266-273
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用ニューキノロン薬であるgrepafloxacin (GPFX) の臨床分離株に対する抗菌力をofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), sparfloxacin (SPFX), fleroxacin (FLRX) と比較検討した。
    グラム陽性菌に関しては, MSSA, MRSAおよびStreptococcus pneumoniaeに対するGPFXの抗菌力は全て比較薬中SPFXとともに最も優れていた。
    グラム陰性菌に関しては, Klensiella pneumoniaeについてはCPFXに若干劣るものの十分な抗菌力を有し, Haemophilus influenzaeについては比較薬と同等で, Moraxella (Branhamela) catarrhalisについてはSPFXと同等に最も優れていた。Pseudomonas aeruginosaについてはCPFXには若干劣るもののその他の比較薬より優れていた。
    また, 慢性気道感染を主とする呼吸器感染症患者20例に対してGPFXを経口投与して, 本薬の臨床的効果と安全性について検討した。臨床効果は, 有効17例, やや有効3例で有効率85.0%であった。細菌学的には, 12例より13株の起炎菌 (P.aeruginosa 5株, S. pneumoniae・H. influenzae各2株K. pneumoniae・Aeromonas hydrophila・Proteus vulgaris・Xanthomonas maltophilia各1株) を特定し, これら13株に対する本薬の細菌学的効果は, 53.8%の消失率であった。
    副作用は3例に発現 (発現率15.0%) し, その内容は眩量, 眠気・しびれ感, 膨疹各1例であった。臨床検査値異常は2例に発現 (発現率10.0%) し, その内容は血清GOT・GPT・ALP上昇と尿中ウロビリノーゲン増加各1例であった。
  • 沖本 二郎, 守屋 修, 二木 芳人, 副島 林造
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 274-278
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口キノロン系合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) について基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績を得た。
    1. GPFXのmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus, Klebsiella pneumoniae, Escherichia coli, Acinetobacter calcoaceticusに対するMIC90 rangeは0.025~0.2μg/mlに分布し, onoxacin (OFLX) ならびにciprofloxacin (NFLX) より優れ, tosufloxacin (TFLX) ならびにciprofloxacln (CPFX) とほぼ同等あるいはそれ以上であった。Methicillin-resistant S.aureusに対するGPFXのMIC50は0.2μg/mlともっとも優れ, MIC90はTFLXに次ぐ25μg/mlであった。Pseudomonas aeruginosaに対するMIC50およびMIC90は, TFLXよりは劣るものの, CPFXと同等のそれぞれ0.78μg/mlおよび3.13μg/mlの抗菌力を示した。
    2. Chlamydia pneumoniae, Chlamydia psittaci, Chlamydia trachomatisに対するMICは, 0.03~0.125μg/mlであり, TFLX, OFLXなど既存のニューキノロン薬に勝る成績であった。
    3. 臨床効果の検討では, 肺炎および漫性気道感染症の13例の呼吸器感染症に対して, 著効3例, 有効5例, やや有効1例, 無効3例, 判定不能1例であり, 有効率は67%(8/12) であった。
    細菌学的検討では, 起炎菌の分離された10例について, 消失4例, 減少または部分消失4例, 不変1例, 菌交代1例であり, 消失率は50%であった。菌種別にみると, S. aureus 4株中3株消失, 1株不変, S. pneumoniae 2株中1株消失, 1株不変, E. coli 1株消失, H. influenzae 3株消失, K. pneumoniae 2株中1株消失, 1株不変, P.aeruginosa 2株不変であった。
    副作用は全例に認められず, 臨床検査値異常は1例に好酸球増多が認められた。
  • 澤江 義郎, 岡田 薫, 高木 宏治, 下野 信行, 三角 博康, 江口 克彦, 仁保 喜之
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 279-284
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたピリドンカルボン酸系抗菌薬grepafloxacin (GPFX) について基礎的, 臨床的検討を行った。(1) 九州大学第一内科入院患者由来の臨床分離株10菌種242株に対するGPFXの最小発育阻止濃度 (MIC) をofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), tosufloxacin (TFLX) を対照薬として測定した。GPFXはグラム陽性球菌には比較対照薬より1~4段階優れた抗菌力を示し, グラム陰性桿菌ではCPFX, TFLXよりやや劣るものの, OFLXより優れた抗菌力であった。しかし, Proteus spp. では全対照薬より劣っていた。(2) 肺炎3例, 急性気管支炎5例, 慢性気管支炎4例の計12例に, GPFX1回100~300mgを1日1~2回, 4~25日間経口投与したところ, 臨床効果は有効9例, やや有効1例, 無効2例で, 有効率は75.0%であった。細菌学的効果では5例より起炎菌として特定された7株はすべて除菌された。副作用として嘔気・食欲不振, ふらふら感, ふらふら感・嘔気・食欲不振の各1例, 計3例が出現した。臨床検査値異常としてGOT・GPTの上昇が1例, 好酸球の増加が1例に認められた。
  • 古賀 宏延, 河野 茂, 朝野 和典, 原 耕平, 賀来 満夫, 伊藤 直美, 渡辺 講一
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 285-291
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新キノロン系抗菌薬grepanoxacinについて, 基礎的ならびに臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. 抗菌力: 臨床分離株16菌種515株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 他3薬剤 [cipronoxacin (CPFX), nornoxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX)] と比較検討した。その結果, 本剤はグラム陽性菌に対しては, 検討薬剤の中で最も優れ, 一方グラム陰性菌に対しても, NFLXおよびOFLXより優れ, CPFXとほぼ同等の良好な抗菌活性を示した。
    2. 体液内濃度: 慢性気道感染症患者4例において, 本剤を経口投与した時の血中および喀痰中濃度を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) にて測定した。本剤300mgおよび200mgを経口投与した後の最高血中濃度は投与3~4時間後に0.20~1.63μg/mlを示し, 最高喀痰中濃度は投与5~6時間後に0.70~4.02μg/mlを示した。喀痰中移行率は235.5~371.4%であった。
    3. 臨床的検討: 呼吸器感染症患者17例に対し本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果および副作用について検討した。17例中著効2例, 有効10例, 無効4例, 判定不能1例で, 総合的な有効率は75.0%であった。細菌学的効果は起炎菌の判明した10例より同定された12株中8株が消失し, 消失率は66.7%であった。副作用は全例に認められなかったが, 臨床検査値異常として, Al-Pの上昇および好酸球の増多が各1例に認められた。
  • 隆杉 正和, 田口 幹雄, 高橋 淳, 大石 和徳, 渡辺 浩, 大森 明美, 渡辺 貴和雄, 永武 毅, 松本 慶蔵, 田中 宏史, 山内 ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 292-302
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口新キノロン薬であるgrepafloxacin (GPFX) の呼吸器感染症における基礎的・臨床的研究を行なった。
    呼吸器病原性の明確な臨床分離菌に対するGPFXのMIC50値 (μg/ml) は, Haemophilus influenzae (75株) で≦0.003, Streptococcus pneumoniae (62株) 0.39, Branhamella catarrhalis (37株) 0.025と優れた抗菌力を示した。Staphylocomsameus (53株) は0.39, Pseudomonas aeruginosa (42株) は0.78であった。
    2症例において本剤投与後の喀痰中への移行を検討した。それぞれ100,200mgの単回投与で, 投与後の最高喀痰中濃度はそれぞれ1.56, 1.68μg/ml, 最高血中濃度は0.85, 1.13μg/mlで喀痰中移行率は (最高喀痰中濃度/最高血清中濃度×100) はそれぞれ183.5,148-7%であった。後者は8日間400mg分2の連続投与で最高喀痰中濃度は2.78μg/mlに達した。
    13症例の呼吸器感染症の患者に本剤を投与し, 2例著効, 他は全て有効で有効率100%であった。副作用, 臨床検査値異常は認めなかった。細菌学的にはP.aeruginosa2株のみ除菌できなかったが, 他の菌 (S. pneumoniae 2株, H. influenzae 5株, B. catarrhalis3株) は全て除菌され, 除菌率83.3%(10/12) と優れた成績であった。
    本剤は各種呼吸器感染症に対し有用性の高い抗菌薬であり, 1日1回ないし2回の投与ですぐれた臨床効果の期待できる新キノロン薬であると結論される。
  • 那須 勝, 山崎 透, 後藤 陽一郎, 永井 寛之, 生田 真澄, 時松 一成, 一宮 朋来, 平松 和史, 平井 一弘, 河野 宏, 田代 ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 303-307
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたニューキノロン系抗菌薬grepafloxacinについて, in vitro抗菌力の測定および呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い以下の結果を得た。
    1. 抗菌力: 最近の臨床材料から分離した7菌種, 270株について, 日本化学療法学会規定の方法により最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, ofloxacin, ciprofloxacin (CPFX), fleroxacinの抗菌力と比較した。
    本剤はグラム陽性菌に対して他剤に比べ最も強い抗菌力を示し, メチシリン感性黄色ブドウ球菌 (MSSA), Streptococcus pmumoniaeに対しては全株0.10, 0.39μg/ml以下のMIC値であった。グラム陰性菌に対してはCPFXに次ぐ抗菌力を示し, Bacteroides fragilisに対するMIC50は, 12.5μg/mlと対照薬剤中最も低い値を示した。
    2. 臨床成績: 呼吸器感染症8例 (肺炎2, 慢性気管支炎4, びまん性汎細気管支炎1, 気管支拡張症+感染1) を対象とし, 本剤を1日1回, 100~300mg, 3~14日間経口投与した。臨床効果は, 有効6例, やや有効2例であった。
    副作用はテオフィリン併用例の1例に軽度の四肢しびれ感・頭重感がみられ, 他に下痢が1例, 嘔気が1例みられた。また, 臨床検査値異常変動は1例に総ビリルビン値の上昇が認められた。
  • 健山 正男, 普久原 浩, 伊良部 勇栄, 稲留 潤, 我謝 道弘, 斎藤 厚, 草野 展周, 古堅 興子, 仲宗根 勇, 平良 真幸
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 308-313
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口キノロン系抗菌薬であるgrepafloxacin (GPFX) について, 基礎的, 臨床的検討を行った。
    基礎的検討: Legianella pneumophilaを含む臨床分離株15菌種, 334株およびLegionella spp. 標準株40株について, 本薬剤と対照薬としてofloxacin (OFLX), tosufloxacin (TFLX), ciprofloxacin (CPFX), enoxacin (ENX), norfloxacin (NFLX) およびLegionella 属にはsparfloxacin (SPFX), erythromycin (EM) を加えて抗菌力を比較した。
    GPFXはグラム陽性菌に対しTFLXとほぼ同等の対照薬中最も優れた抗菌力を示した。グラム陰性菌ではLegionella属以外の臨床分離菌に対するGPFXのMIC90はおおむねOFLX, CPFX, ENX, NFLXより優れており, TFLXと同等かやや劣る成績であった。L. pneumophila臨床分離株に対する本薬剤のMIC90はSPFXより1管劣るものの, TFLXと同等の優れた成績であり, Legionella spp. 標準株に対する本薬剤のMIC90では, TFLX, SPFXに次ぎCPFXと同等の抗菌力を示した。
    臨床的検討: 慢性気道感染症5例に対し, 本薬剤1日200mg~300mgを1回投与した。投与期間は7~14日間であった。臨床効果は5例全例が有効であった。副作用および臨床検査値異常は本薬剤に起因すると思われるものは全例に認められなかった。
  • 福山 正文, 川上 久美子, 今川 八束
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 314-318
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    キノロン系抗菌薬grepanoxacin (GPFX) の臨床試験におけるすべての感染性腸炎患者, 保菌者から分離されたShigella spp, 37株, Salmonella spp. 23株, Campylobacter spp. 15株, Vibrio spp. 11株, Escherichia coli 9株, Aeromonas spp. 2株およびPlesiomonas shigelloides 3株に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, nornoxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), enoxacin (ENX), ciprofloxacin (CPFX) およびnalidixic acid (NA) のMICと比較した。GPFXのMIC90は, Shigella spp. およびE. coliに対しては0.1μg/ml, Salmonella spp. に対しては0.2μg/ml, Campylobacter spp. に対しては0.39μg/mlおよびVibrio parahaemolyticusに対しては0.78μg/mlであった。株数の少なかったAeromonas spp. およびP. shigelloidesに対してはそれぞれ0.39, 0.05μg/ml以下の濃度で全株の発育を阻止した。Campylobacter spp. を除く菌株に対するキノロン系薬剤の抗菌力 (MIC90) はCPFXが最も強く, 次いでGPFX, NFLX, OFLXがほぼ同等の抗菌力を示した。GPFXのCampylobacter spp. に対する抗菌力は, CPFX, OFLXと同等の抗菌力であった。全ての感染性腸炎患者から分離された菌株 (100株) に対する各薬剤のMIC90はそれぞれGPFX: 0.39, NFLX: 0.39, OFLX: 0.39, ENX: 0.78, CPFX: 0.2およびNA: 12.5μg/mlであった。
  • 松岡 康夫他
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 319-332
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    細菌性赤痢をはじめとする感染性腸炎患者および保菌者に対するgrepanoxacin (GPFX) の有効性, 安全性および有用性について検討した。投与量は1日1回200mg, 投与期間はコレラで3日間, サルモネラ腸炎で7日間, その他の感染性腸炎で5日間とした。
    1. 総投与症例数113例中, 総合効果解析対象例は77例であった。
    2. 患者39例における臨床効果 (対症状効果) は全例著効もしくは有効で, 有効率100%であった。
    3. 細菌学的効果は赤痢菌41/42 (97.6%), サルモネラ7/9, カンピロバクター5/9, 腸管病原性大腸菌9/9などであった。
    4. 総合効果は細菌性赤痢1例, サルモネラ腸炎2例, カンピロバクター腸炎1例を除く全例有効以上で, その有効率は94.8%であった。
    5. 副作用 (n=112) は, 全例に認められなかった。臨床検査値異常 (n=100) は, 8例 (8%) に認められた。s-GOT, s-GPT等の上昇が主なもので, いずれも軽度であった。
    6. 有用性 (n=78) は, 非常に満足が52.6%, 満足以上が89.7%であった。
    7. 菌陰性腸炎1例でGPFX投与時の糞便中濃度と腸内細菌叢への影響について検討を行い, 健常人とほぼ同等の成績であった。
    以上より, GPFXは細菌性赤痢をはじめとする各種感染性腸炎に対して有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 小林 宏行他
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 333-351
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。
    総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。
    呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC80は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。
    副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。
    臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。
    臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。
    以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
  • 岩澤 晶彦, 広瀬 崇興, 熊本 悦明
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 352-359
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいニューキノロン系抗菌薬であるgrepafloxacin (GPFX) について基礎的, 臨床的検討を行った。
    1) 基礎的検討: 教室保存の尿路感染分離菌12菌種559株に対するGPFXのMIC値をofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), norfloxacin (NFLX) との間で比較した。グラム陽性球菌であるStaphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Enterococcus faecalis, Enterococcus faeciumに対するGPFXのMIC90値はおおむね8μg/ml以下で, 他の比較薬と比べて優れた抗菌力を示した。一方, グラム陰性桿菌に対するMIC90値はPseudomonas aeruginosa, Serralia marcescensの32μg/ml, Enterobacter spp. 8.0μg/mlを除いてはすべて0.5μg/ml以下という優れた抗菌力であった。また, Chlamydia trachomatis標準株 (D株) に対してのMIC rangeはテトラサイクリン系抗菌薬と同等で0.031~0,063μg/mlであり, キノロン系の中ではsparfloxacinと同様に強い抗菌力を示した。
    2) 臨床的検討: 急性単純性膀胱炎3例および複雑性尿路感染症7例の計10例に本薬を投与した。急性単純性膀胱炎3例はUTI薬効評価基準判定では全例著効, 主治医判定では全例が有効以上であった。細菌学的効果は3株すべてが消失していた。また複雑性尿路感染症では7例中5例がUTI薬効評価基準により評価可能であり, 5日目判定で著効1例, 有効1例, 無効3例で有効率2/5であった。無効例にはEscherichia coli, P. aeruginosaを含む複数菌感染例が2例含まれていた。自他覚的副作用および臨床検査値の異常変動は, 今回GPFXを投与した10例全例で認められなかった。
  • 清田 浩, 町田 豊平, 大石 幸彦, 小野寺 昭一, 鈴木 博雄, 後藤 博一, 高見澤 重教, 三谷 比呂志, 川原 元, 五十嵐 宏, ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 360-363
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Grepafloxacin (GPFX) の尿路感染症に対する有用性を明らかにする目的で, 基礎的には本剤の尿中抗菌力と白血球殺菌能に及ぼす影響について, また, 臨床的には慢性複雑性尿路感染症に対し本剤を投与し, その有効性と安全性について検討した。
    1. 基礎的検討: pHを変化させた健常人の尿を培地として, 本剤のEscherichia coli NIHJ JC-2およびPseudomonas aeruginosa 18sに対する最小殺菌濃度 (minimum bactericidal concentration; MBC) を測定したところ, 尿培地のpHが高い程, 被験菌2株に対するMBCは低くなった。また, 好中球と単球の活性酸素産生能に及ぼす本剤の影響をchemiluminescence法により検討したところ, 好中球の活性酸素産生能は本剤10μg/ml, 100μg/ml存在下で増強された。しかし, 単球の活性酸素産生能は本剤1.0μg/ml, 10μg/mlで増強されたものの, 100μg/ml存在下では逆に抑制された。
    2. 臨床的検討: 慢性複雑性尿路感染症患者6例 (慢性複雑性腎盂腎炎1例, 慢性複雑性膀胱炎5例) に対し本剤100mgから300mgを1日2ないし3回, 5日間投与し, その有効性をUTI薬効評価基準および主治医により判定した。また, 本剤投与による自他覚的副作用あるいは臨床検査値異常の有無を観察し, 本剤の安全性を検討した。UTI薬効評価基準による判定では, 著効2例, 有効2例, 無効2例で, 総合臨床効果は4/6であった。また, 主治医による判定では, 著効1例, 有効3例, 無効2例で, 有効率4/6であった。本剤投与による自他覚的副作用および臨床検査値異常は認められなかった。
    以上より, 本剤は尿路感染症に対する有効性はやや低かったが, 尿をアルカリ化することによりその有効性が高められることが期待された。
  • 岡崎 武二郎
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 364-368
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1991年8月から1992年1月までの6ヵ月間に都立台東病院泌尿器科を受診した40名の男子尿道炎患者を対象としてgrepafloxacinを投与した。尿道炎の内訳は淋菌性尿道炎24例, 非淋菌性クラミジア性尿道炎5例, 非淋菌性非クラミジア性尿道炎11例であった。
    本剤の投与は1日1回とし, 1回200mg (100mg錠2錠) もしくは300mg (150mg錠2錠) を2~16日間投与した。また, 今回の淋菌性尿道炎症例で臨床分離されたNeisseria gonorrhoeae 23株についてのMIC測定も行った。
    淋菌性尿道炎24例のうち22例 (91.2%) においてN. gonorrhoeaeが消失した。N. gonorrhoeaeが消失した症例での本剤のMICはすべて0.20μg/ml以下であり, MIC 0.39μg/mlと0.78μg/mlを示した2株は存続した。最近は多数のニューキノロン薬に耐性を示すN. gonorrhoeaeが散見されており, 淋菌性尿道炎に対する本剤の臨床応用は再検討の必要があるものと思われた。
    非淋菌性クラミジア性尿道炎5例ではChlamyaia tmchomatisは全て消失, また非淋菌性非クラミジア性尿道炎11例では10例が有効以上を示し, 本剤は非淋菌性尿道炎においては臨床応用が可能と思われた。なお, 本剤を投与した全40例において副作用を来した症例は1例もなく, 本剤は安全な薬剤と思われた。
  • 斎藤 功, 西古 靖
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 369-375
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系のgrepafloxacin (GPFX) のNeisseria gonorrhoeae 40株 (PPNG4株を含む), Chlamydia trachomatis 8株に対する抗菌力と, 尿路感染症における臨床的有用性を検討した。
    1.抗菌力
    当院保存のN.gonorrhoeae 40株に対するGPFXの抗菌力, MIC rangeは0.0125~1.56μg/mlに 分布し, MIC90はtosufloxacin (TFLX), sparfloxacin (SPFX) に次ぎ, ciprofloxacin (CPFX), levofloxacin (LVFX) と同等の0.2μg/mlであり, MIC50は0.025μg/mlと他の同系キノロン薬とほぼ同等であった。C.trachomatis 8株に対するGPFXの抗菌力, MICrangeは0.008~0.031μg/mlに分布し, MIC50およびMIC90はそれぞれ0.016μg/mlおよび0.031μg/mlともっとも優れた抗菌力を示した。
    2, 臨床的検討
    急性単純性膀胱炎10例, 慢性複雑性膀胱炎15例に投与した。急性膀胱炎には1回100~300mg, 1日1~2回投与, 慢性尿路感染症には1回150~3009, 1日1~2回投与した。UTI薬効評価基準に合致した急性単純性膀胱炎5例で著効3例, 有効2例で有効率は100%であり, 複雑性尿路感染症9例では著効3例, 有効3例, 無効3例で有効率は66.7%であった。また細菌学的効果は6菌種17株中15株が消失し, 88.2%の消失率であった。
    自・他覚的副作用は1例に上腹部不快感が認められたが, 臨床上特に問題となるものではなかった。また臨床検査値異常変動は認められなかった。
    以上の成績から尿路感染症に有用性のある薬剤と考えられた。
  • 鈴木 恵三, 堀場 優樹, 石川 清仁, 名出 頼男, 柳岡 正範, 田中 利幸, 加藤 忍, 浅野 晴好, 日比 秀夫, 高梨 勝男
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 376-385
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系経口抗菌薬grepafloxacinを尿路感染症 (UTI) 51例と慢性前立腺炎1例の計52例に投与して治療成績と安全性について検討した。また本剤のヒト前立腺液への移行濃度を測定した。
    UTIのうち単純性膀胱炎に対しては, 主に1日100mgを1回, 3~5日間, 複雑性には主に300mgを1日1回または分2で, 主に5日間投与した。
    UTI薬効評価基準による判定では, 単純性膀胱炎に11例中11例, 100%, 複雑性UTI27例中12例, 44.4%の有効率であった。複雑性UTIでの除菌率は, グラム陽性球菌15株中10株, 66.7%, グラム陰性桿菌24株中15株, 62.5%であった。
    前立腺液への移行濃度は200~300mg内服後1~4時間で0.03~0.51μg/ml, 血清比は0.12~1.71であった。
    安全性では, 自・他覚的副作用は, 消化器症状2例, 中枢系障害3例, アレルギー症状1例が認められた。また, 臨床検査値の変動は1例に軽度の好中球増多・リンパ球減少・sGOT上昇が認められた。
  • 高橋 義人, 山田 伸一郎, 米田 尚生, 岩田 英樹, 石原 哲, 岡野 学, 斉藤 昭弘, 伊藤 康久, 兼松 稔, 栗山 学, 坂 義 ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 386-396
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい合成抗菌薬であるgrepafloxacin (GPFX) について, 抗菌力などの基礎的検討と尿路性器感染症に対する臨床的検討を行った。
    1.基礎的検討: Norfloxacin, ofloxacin (OFLX), ciprofloxacinを対照薬としてMethicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA), Methicillin-resistant S. aureus (MRSA), Staphylococcus ebidermidis. Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Citrobacter freundii, Klebsiella imeunwniae, Enterobacter cloacae, Pseudomonas aeruginosa に対するMICを測定した。いずれの菌種に対しても対照薬と同等か, より優れたMICであった。Minocycline (MINO) とOFLXを対照薬としてUreaplasma nyealytycumに対するMICを測定した。GPFXのfinalMICは0.39μg/mlで, MINO, OFLXより優れていた。また, 本剤200~300mg単回投与2~20時間後に採取した前立腺, 精巣, 精巣上体の組織内濃度はそれぞれ0.21~6.70, 2.18~6.24, 1.54~6.27μg/gで対血清濃度比は0.2~9.3, 2.8~7.9, 2.6~7, 0であった。
    2.臨床的検討: 急性単純性膀胱炎5例, 複雑性尿路感染症20例, 慢性前立腺炎2例, 尿道炎4例, 精巣上体炎1例に本剤50~300mgを1日1回3~14日間投与し, 有用性を検討した。急性単純性膀胱炎症例においてUTI薬効評価基準による効果判定可能症例は2例であり全例著効であった。複雑性尿路感染症においてUTI薬効評価基準による効果判定が可能であった13例では著効9例, 有効4例で総合有効率は100%であった。慢性前立腺炎2例, 精巣上体炎1例は共に有効で, 尿道炎では著効3例, 有効1例であった。副作用として, 1例に皮疹の出現を認めたが軽度であった。臨床検査値異常として好酸球増多, GOT上昇。GPT上昇を1例ずつ認めたが, 軽度であった。本剤は尿路由来細菌, U.nrealytfoum に優れた抗菌力, 良好な性器移行を示し, 尿路性器感染症に対し有効で安全な薬剤と考えられた。
  • 竹中 皇, 渡辺 豊彦, 櫻本 耕司, 林 俊秀, 畠 和宏, 小野 憲昭, 公文 裕巳, 大森 弘之, 片山 泰弘, 水野 全裕, 岸 幹 ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 397-404
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新規ニューキノロン系薬剤grepafloxacinの尿路感染症由来菌に対する抗菌力, ならびに, その臨床効果を検討した。
    1) 抗菌力: 尿路感染症由来菌14菌種210株に対する本剤のMICを測定し, 同系薬剤であるofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) およびnornoxacin (NFLX) と比較した。全体として, CPFXには劣るものの, その他の同系薬剤とほぼ同等あるいはそれ以上の抗菌力を示した。
    2) 臨床効果: 急性単純性膀胱炎4例, 複雑性尿路感染症28例および急性細菌性前立腺炎2例に対し, 本剤を1回量100から300mg, 1日1ないし2回, 1から14日間投与し, UTI薬効評価基準に準じて臨床的検討を行った。急性単純性膀胱炎4例, 急性細菌性前立腺炎1例に対してはどちらも有効以上であったが, 複雑性尿路感染症に対しては著効5例, 有効3例, 無効14例で, 有効率は36.4%であった。細菌学的効果では25株中15株が消失し, 除菌率は60%であった。
    なお, 自・他覚的副作用は1例に一過性の左半身不快感を認め, 臨床検査値異常では軽度の好酸球増多, GOT・GPTの上昇を各1例に認めた。
  • 山内 大司, 後藤 俊弘, 牧之瀬 信一, 江田 晋一, 北川 敏博, 大井 好忠, 川原 和也, 久保 博幸, 川畠 尚志, 竹元 雅一
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 405-409
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口用キノロン系抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の髄液中移行, ならびに尿路感染症 (UTI) に対する有用性を検討した。本剤200mg単回投与3時間後の髄液中濃度は, 8例の平均で0.100±0.011μg/ml, 対血清比は0.136±0.015であった。UTI23例, 前立腺炎3例, 淋菌性尿道炎1例を対象に, 本剤を1回100~150mg, 1日1~2回, 3~14日間, 食後経口投与し, 臨床効果, 安全性を検討した。UTI薬効評価基準に合致した急性単純性UTI3例ではいずれも著効, 複雑性UTI12例では, 著効4例, 有効2例, 無効6例で, 有効率50%であった。前立腺炎3例に対する効果は, 主治医判定で著効2例, 無効1例であった。また, 淋菌性尿道炎1例に対する効果は主治医判定で著効であった。本剤を投与した27例のうち, ふらつき, 胃部不快感が各1例に認められ, 前者では投薬を中止したが.いずれも軽度で処置の必要は無かった。臨床検査値の異常として, 1例に軽度の白血球数減少が認められた。
  • 河田 幸道他
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 410-423
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいニューキノロン系抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の泌尿器科領域における各種尿路・性器感染症に対する有効性と安全性を多施設共同研究により検討した。GPFXの1日投薬量は50mg~600mgとし, 3~14日間投薬したが, 1日1回300mg投薬例が最も多かった。
    総投薬症例424例中, 394例について担当医師による臨床効果の判定が行われたが, 全体としての有効率は72.6%であった。
    単純性膀胱炎53例, 複雑性尿路感染症174例, 淋菌性尿道炎20例, 非淋菌・クラミジア性尿道炎6例についてはUTI薬効評価基準に従って総合臨床効果が判定されたが, その有効率は単純性膀胱炎で100%, 複雑性尿路感染症で59.8%, 淋菌性尿道炎で90.0%であり, 非淋菌・クラミジア性尿道炎でも6例全例に有効以上の効果が得られた。
    細菌消失率は単純性膀胱炎の56株では96.4%, 複雑性尿路感染症の220株では71.4%, 淋菌性尿道炎の20株では90.0%であり, またChlamydia trachomatisの6株もすべて消失した。
    副作用発現率は414例中4.3%, 臨床検査値の異常変動発現率は280例中3.2%であったが, いずれにおいても臨床上とくに問題となるものはなかった。
    以上の成績からGPFXは, 複雑性尿路感染症の治療においては有用性が高いとは言い難いが, 単純性膀胱炎, 淋菌性尿道炎, 非淋菌・クラミジア性尿道炎の治療においては有用な薬剤であると考えられた。
  • 国松 正彦, 岩井 重寓, 古畑 久, 大塚 一秀, 中川 良英, 裴 正徳, 佐藤 毅, 加藤 高明, 新井 尚之, 村中 博, 加沢 玉 ...
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 424-429
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新キノロン系経口抗菌薬grepafloxacin (GPFX) について外科領域における基礎的・臨床的検討を行なった。
    臨床分離保存のmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), coagulase-positive staphylococci (CPS), coagulase-negative staphylococci (CNS), Enterococcus faecalis, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacae, Pseudomonas aeruginosa についてGPFX, norfloxcacm (NFLX), ofloxacin (OFLX), ciplofloxacin (CPFX), lomefloxacin (LFLX), tosufloxacin (TFLX), sparfloxacin (SPFX), temafloxacin (TMFX) の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した。
    MRSAに対しては比較3薬剤同様に有効な抗菌力を示さなかった。CPSに対してはGPFXはほとんどの株を0.2μg/mlまでで発育を阻止し, 比較6剤に比べ最も優れた抗菌力を示した。CNSに対してもGPFXが最も優れた抗菌力を示したが, 感受性分布は2峰性を示しており, 他の比較薬剤同様, 耐性株が多い。E.faecalisに対しても同様の傾向を示した。グラム陰性桿菌, 特にE.coliK.pneumoniaeに対しては非常に優れた抗菌力を示し, E.cloacaeに対しても耐性株を除くと0.4μg/ml以下で全て発育を阻止し, P.aerugimosaに対してもGPFXのMICは0.8~6.25μg/mlで高度耐性株を認めず, 最も優れた抗菌力を示した。
    23例の外科感染症に本剤を使用し, 来院しなかった1例を除く22例について効果判定を行なった。著効3例, 有効14例, やや有効4例, 無効1例で有効率は77。3%であった。無効例は1例でMRSAによる凛疽の症例であった。細菌学的効果を判定できた16株では全て消失していた。服用中に口腔内に苦みを訴えた一例を認めたが, 特別な処置は必要とせず消失した。これ以外に副作用, 臨床検査値異常は認められなかった。
    以上よりGPFX外科領域の感染症にきわめて有用な薬剤と考えられる。
  • 清水 武昭, 佐藤 攻
    1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 430-437
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用キノロン系合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) について検討した。
    胆汁, 胆嚢組織内移行の検討では, 良好な胆汁中, 胆嚢組織内移行を示し, 体内動態の面からは胆道感染症治療に有用な薬剤と考えられた。胆管炎15例, 胆嚢炎4例, 合計19例にGPFXを投与し, 著効4例, 有効15例の成績がえられ, 副作用, 臨床検査値異常はなく, 外科領域特に胆道感染症に有用な抗菌薬であると考えられた。
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