日本化学療法学会雑誌
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Grepafloxacinの抗菌力と慢性気道感染を主対象とした臨床的検討
小田切 繁樹鈴木 周雄高橋 宏高橋 健一
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キーワード: 抗菌力, 呼吸器感染症
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1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 266-273

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抄録
新しく開発された経口用ニューキノロン薬であるgrepafloxacin (GPFX) の臨床分離株に対する抗菌力をofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX), sparfloxacin (SPFX), fleroxacin (FLRX) と比較検討した。
グラム陽性菌に関しては, MSSA, MRSAおよびStreptococcus pneumoniaeに対するGPFXの抗菌力は全て比較薬中SPFXとともに最も優れていた。
グラム陰性菌に関しては, Klensiella pneumoniaeについてはCPFXに若干劣るものの十分な抗菌力を有し, Haemophilus influenzaeについては比較薬と同等で, Moraxella (Branhamela) catarrhalisについてはSPFXと同等に最も優れていた。Pseudomonas aeruginosaについてはCPFXには若干劣るもののその他の比較薬より優れていた。
また, 慢性気道感染を主とする呼吸器感染症患者20例に対してGPFXを経口投与して, 本薬の臨床的効果と安全性について検討した。臨床効果は, 有効17例, やや有効3例で有効率85.0%であった。細菌学的には, 12例より13株の起炎菌 (P.aeruginosa 5株, S. pneumoniae・H. influenzae各2株K. pneumoniae・Aeromonas hydrophila・Proteus vulgaris・Xanthomonas maltophilia各1株) を特定し, これら13株に対する本薬の細菌学的効果は, 53.8%の消失率であった。
副作用は3例に発現 (発現率15.0%) し, その内容は眩量, 眠気・しびれ感, 膨疹各1例であった。臨床検査値異常は2例に発現 (発現率10.0%) し, その内容は血清GOT・GPT・ALP上昇と尿中ウロビリノーゲン増加各1例であった。
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