日本化学療法学会雑誌
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ニューキノロン系抗菌薬grepafloxacinのin vitro, in vivo抗菌作用
今田 拓磨五島 瑳智子宮崎 修一山口 惠三桑原 章吾
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キーワード: 抗菌力, ニューキノロン
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1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 29-41

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抄録

ニューキノロン系抗菌薬grepafloxacin (GPFX) のin vitro, in vivo抗菌作用をofloxacin (OFLX), enoxacin (ENX), ciprofloxacin (CPFX), およびtosufloxacin (TFLX) と比較検討し, 以下の結果を得た。
GPFXは広範囲な抗菌スペクトラムを有し, methicillin耐性Staphylococcus aureus (MRSA) を含Staphylococcus属, Enterococcus属およびStreptococcus属に対する抗菌力は, TFLXと同等の強い抗菌力を示した。腸内細菌科の菌種に対する抗菌力は, CPFX, TFLXに比べやや弱いが, Haemophilus influenzae, Neisseria gonorrhoea等のグラム陰性菌に対しては, 試験薬剤中もっとも強い抗菌力を示した。
マウス全身感染モデルに対するGPFXの治療効果は, S. aureus Smith, S. aureus TMS 33, Streptococcus pneumoniaeでは, TFLXよりやや劣り, Escherichia coli C-11, Klebsiella pneumoniae 3K25, Pseudomonas aeruginosa E7に対しては, 対照薬剤より優れた治療効果を示した。K. pneumoniae 3K 25, S. pneumoniae TMS 3, S. aureus Smithを感染菌とする経鼻肺感染モデルにおけるGPFXの治療効果はTFLXより優れていた。尿路感染モデル (P. aeruiinosa KU-1) においては, GPFXはCPFXと同等の優れた治療効果を示した。
GPFXのマウス血清中, 肺内および腎内濃度を測定したところ, 血清中濃度は他剤に比べ低いが, 肺内, 腎内濃度は, 他剤に比べ高濃度で分布することが分かった。

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