1995 年 43 巻 Supplement1 号 p. 42-49
新キノロン薬であるgrepafloxacin (GPFX) の偏性嫌気性菌及び一部の通性嫌気性菌に対するin vitro抗菌力を検討した. 比較薬剤として10mefloxacin (LFLX), onoxacin (OFLX), cipronoxacin (CPFX) 及びnorfloxacin (NFLX) を用い比較検討した. 参考菌株を用いた検討において接種菌量によるMICの変化はほとんど認められなかった. GPFXは嫌気性菌のグラム陽性およびグラム陰性の球菌, 桿菌に対し幅広い抗菌スペクトラムを示した. Bacteroides fragilis groupの菌種に対してGPFXはCPFX, OFLXと同等の強い抗菌力を示し, LFLX及びNFLXより強い抗菌力であった. また他のBaotmides spp., Prevotella spp. 及びFlusobacterim spp. ではGPFXはCPFX, OFLXと同等かやや弱く, LFLX, NFLXより強い抗菌力であった. グラム陽性菌に対するGPFXの抗菌力は強く, Mobiluncus spp, では比較薬剤の中で最も強い抗菌力を示した. 臨床分離株でも同等の成績であり, Bacteroides ragilisに対するGPFXの抗菌力は, MIC50で1.56μg/ml, MIC90では25μg/mlであった. Bacteroides thetaiotaomicronを始め他のB. fragilis groupの菌種に対し, GPFXは比較薬剤の中で最も強い抗菌力を示しMIC50は3.13μg/ml以下であった. グラム陽性菌ではPeptostreptococcus anaerobius, Peptostreptococcus magnus, Peptostreptococcus asacchanlytiousに対し, GPFXは, OFLX, CPFXと同等の抗菌力を示した. またClostridium perfringens, Mobiluncus spp., Gardnerella vaginalis の臨床分離株に対し比較薬剤中最も強い抗菌力を示し, そのMIC90はそれぞれ0.39, 0.10及び3.13μg/mlであった.