抄録
経口用ニューキノロン系抗菌薬grepanoxacinの有用性について基礎的ならびに臨床的に検討し, 以下の結果を得た。
1. 本剤200mgを内服し, 扁桃組織内濃度および血清中濃度をHPLC法にて測定した。投与後約2~3時間で扁桃組織内濃度は1.48~5.37μg/g対応する血清中濃度は0.36~0.98μg/mlであった。組織内移行率は251~590%と優れた成績であった。
2. 耳鼻咽喉科領域感染症31例に対して本剤を投与した。臨床効果は著効13例, 有効10例, やや有効1例, 無効3例, 判定不能4例であった。著効+有効例は判定可能症例27例中23例で有効率85.2%であった。細菌学的検討では, 評価可能であった全26株中24株が消失し, 消失率は92.3%であった。自他覚的副作用は, 下痢1例, 服薬後の口腔違和感1例が認められ, 臨床検査値の異常はGPTの上昇が1例に認められたが, いずれも重篤なものではなかった。
以上より, 本剤は耳鼻咽喉科領域感染症に対して有用な薬剤と考えられた。