日本化学療法学会雑誌
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尿路感染症に対するpazufloxacinの基礎的・臨床的検討
鈴木 伸和廣瀬 崇興熊本 悦明門野 雅夫
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1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 316-323

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抄録

新しく開発された経口用ニューキノロン系合成抗菌薬であるpazufloxacin (PZFX) について, 基礎的・臨床的検討を行った。
1) 基礎的検討: 教室保存の尿路感染症分離グラム陽性球菌5菌種 (各32, 35または50株), グラム陰性桿菌7菌種 (各50株) に対する本薬の最小発育阻止濃度 (MIC) をofloxacin (OFLX), tosufloxacin (TFLX) およびciprofloxacin (CPFX) と比較検討した。本薬はグラム陽性球菌及びPsendomonas aerugimosaに対してはOFLXと同程度の抗菌力を示し, P. aeruginosaを除くグラム陰性桿菌に対してはOFLXより優れた抗菌力を示した。
2) 臨床的検討: 急性単純性腎盂腎炎1例, 女子急性単純性膀胱炎1例, 複雑性尿路感染症16例に本薬を投与し, 臨床効果ならびに副作用の検討を行った。急性単純性腎盂腎炎では1回100mgを1日3回14日間, 女子急性単純性膀胱炎では1回200mgを1日3回4日間投与し, 効果判定を行った。複雑性尿路感染症では1回100-200mgを1日2~3回4~7日間投与し, 効果判定を行った。急性単純性腎盂腎炎および女子急性単純性膀胱炎においてはいずれも著効であった。複雑性尿路感染症においては, UTI薬効評価基準に従って効果判定のできた14例中著効9例, 有効2例で, 総合有効率は78.6%, 著効率は64.3%と高かった。また尿中分離株も21株中18株が消失し, 消失率は85.7%であった。本薬を投与した18例中1例において白血球の減少が認められたが, 自他覚的副作用は認められなかった。

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