1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 349-355
新しい合成抗菌薬であるpazufloxacin (PZFX) について, 基礎的・臨床的検討を行い以下の結論を得た。
1. 基礎的検討: norfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) を対照薬として尿路由来のmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA), methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), Staphylococcus epidermidis, Emterococcus faecalis, Escherichia coli, Citrobacter freundii, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosaの9菌種, 221株に対するMICを測定した。PZFXは, Staphylococciには他の3剤より優れ, E.faecalisに対してはCPFXよりやや劣り, NFLX, OFLXとほぼ同等であった。
2. 臨床的検討: 急性単純性膀胱炎3例に本剤50mgもしくは100mgを1日3回3日間経口投与し, UTI薬効評価基準により判定できた2例は, いずれも著効であった。複雑性尿路感染症16例に本剤100mgを1日3回4~6日間経口投与し, UTI薬効評価基準により判定できた12例の有効率は92%であった。
本剤を投与した19例に自他覚的副作用はみられなかった。また, 臨床検査値の異常としてGOTの上昇が1例に, Kの低下が1例にみられた。
PZFXは尿路感染症の治療に有効かつ安全な薬剤と考えられた。