日本化学療法学会雑誌
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泌尿器科領域感染症に対するpazufloxacinの基礎的・臨床的検討
鈴木 恵三堀場 優樹石川 清仁加藤 忍田中 利幸名出 頼男星長 清隆柳岡 正範藤巻 一雄
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1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 339-348

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抄録

新しい経口用ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin (PZFX) について, 基礎的・臨床的検討を行った。
1) 抗菌活性におよぼす培地とpHの影響
Pseudomonas aeruginosa数株について, 培地と尿中pHの抗菌力におよぼす影響を他剤と比較検討した。本剤の抗菌力は培地およびpHの影響を受けるが, 対照薬と比べて影響が少なかった。
2) ヒト前立腺液 (human prostatic fluid, PF) への移行濃度
本剤200mgを単回投与した時のPF内濃度は1時間後で, 0.18μg/ml (n=4), 2時間後で0.20μg/ml (n=2) であった。血清比はそれぞれ0.12 (1h), 0.26 (2h) であった。
3) 尿路性器感染症 (urinary tract infection, UTI) に対する臨床効果
本剤を1回50mg~200mgを1日2~3回食後に3~14日間経口投与した。臨床効果はUTI薬効評価基準で急性単純性UTIには14例中14例, 100%, 複雑性UTIには20例中18例, 90%の有効率であった。この他に前立腺炎3例全て主治医判定で有効であった。
4) 安全性
本剤に基づく自他覚的副作用は38例中1例に軽度の軟便が認められた。臨床検査値異常変動については肝機能値の変動が24例中2例に認められた。

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