抄録
新キノロン薬pazufloxacin(PZFX)のin vitro抗菌力を対照薬norfloxacin, onoxacin(OFLX), levofloxacin, ciprofloxacin, tosufloxacin, neroxacin, sparfloxacinと比較検討した。本薬のStreptococcus属に対するMICrangeは0.39~3.13μg/mlに分布し, OFLXとほぼ同等の抗菌力を示した。Methicillin耐性(MIC≧25μg/ml)Staphylococcus aureusに対するPZFXのMIC90は12.5μg/mlであった。PZFXは腸内細菌科菌群に対して良好な抗菌力を示し, 特にEscherichia coli, Enterobacteraerogenes, Enterobacter cloacae, Proteus mirabilis, Morganella morganiiおよびSerratia marcescensに対しては, 検討したキノロン薬と同等以上もしくは最も良好な抗菌力を示した。S.aureus, E. coli, Pseudomonas aeruginosa各1株を用い10代にわたり薬剤増量継代培養を行ったが, PZFXのMICの上昇はいずれも4倍以内であり耐性化し難いことが示唆された。E.coli, Klebsiella pneumoniae, P.aeruginosa各3株を用いPZFXのpostantibiotic effectを検討したところ, それぞれ1.3, 1.6, 1.7時間を示した。P.aeruginosaのバイオフィルム形成菌(sessile cells)に対して, PZFXおよびマクロライド薬(erythromycin, clarithromycin) のそれぞれ単独では殺菌作用はなかったが, 両薬をそれぞれ併用することにより相乗的殺菌作用がみられた。