日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
新規ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacinの嫌気性菌に対する抗菌力
加藤 直樹加藤 はる田中 香お里渡辺 邦友上野 一恵
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 43 巻 Supplement2 号 p. 47-53

詳細
抄録

新規ニューキノロン系抗菌薬pazufloxacin (PZFX) の嫌気性菌と一部の通性嫌気性菌に対する抗菌力を既存のニューキノロン薬であるtosufloxacin (TFLX), ciprofloxacin (CPFX), ofloxacin (OFLX) およびnorfloxacin (NFLX) と比較検討した。参考菌株を用いた検討においてPZFXはグラム陰性菌, グラム陽性菌に対し幅広い抗菌スペクトルを示し, 多くの菌種に対してMICは3.13μg/ml以下であったが, Peptostreptoceccus属の一部, Clostridium属の一部, Lactobacillus属の多く, およびBacteroides fragilis groupには抗菌力が弱かった。接種菌量の増加に伴うMICの上昇は認められなかった。新鮮臨床分離株を用いた検討においては, 全般にPZFXはTFLXより劣るものの, CPFX, OFLXとほぼ同程度で, NFLXより優れた抗菌力を示した。PZFXはimipenem (IPM) 耐性B.fragilis group株にはIPM感受性株と同程度の抗菌力を示したが, OFLX高度耐性B.fragilisには抗菌力を示さなかった。以上の成績をまとめると, PZFXはPeptostnptococcus属の多くの菌種, Clostridium属の一部, Prevotella属とPorphyromouas 属の多くの菌種に対し臨床効果が期待できる抗菌力を有していたものの, B. fragilis groupやPrevotella biviaなどには臨床効果があまり期待できない抗菌力であった。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top