日本化学療法学会雑誌
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複雑性尿路感染症に対するcefluprenamの臨床的検討
豊田 精一及川 克彦伊藤 晋加藤 慎之介折笠 精一
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キーワード: 複雑性尿路感染症
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1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 316-319

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抄録

新しく開発されたセファロスポリン系の注射用抗生物質cefluprenamを複雑性尿路感染症に投与し, その有効性と安全性について検討した。対象は本剤投与について同意の得られた慢性複雑性腎孟腎炎4例, 慢性複雑性膀胱炎1例の計5例で年齢は26~82歳に分布していた。投与方法は1回1g, 1日2回, 計10gを5日間点滴静注した。効果判定は主治医及びUTI薬効評価基準第3版に従って行った。また, 安全性の検討は “抗菌剤による治験症例における副作用, 臨床検査値異常の判定基準” に従って行った。UTI薬効評価基準にもとつく評価は, 投与前菌数不足の1例を除いた4例に行い, 慢性複雑性腎孟腎炎著効1例, 有効2例, 慢性複雑性膀胱炎有効1例であった。主治医判定は, 慢性複雑性腎孟腎炎著効2例, 有効2例, 慢性複雑性膀胱炎有効1例であった。細菌学的効果は, 7株すべて除菌され, 投与後出現菌は認めなかった。MICはPseudomonas aeruginosaが3.13μg/mlとやや高値であったが, 他は0.39μg/ml以下と良好な結果であった。安全性の検討では臨床検査値でS-GOT (30→48IU/l), K (4.5→6.5mEq/l) の軽度異常を5例中1例に認めたが, 自他覚的副作用は1例も認めなかった。以上よりCFLPは複雑性尿路感染症に対し有用な薬剤と考えられた。

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