日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
新しい注射用セフェム系抗生物質cefluprenamの複雑性尿路感染症に対する臨床成績
鈴木 恵三堀場 優樹石川 清仁加藤 忍
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 332-337

詳細
抄録

新しい注射用セフェム系抗生物質cefluprenam (CFLP) を16例の複雑性尿路感染症 (カテーテル留置7例, 非留置9例) と1例の急性前立腺炎の治療に投与して, 以下の成績を得た。複雑性尿路感染症に対しては, 1日1.0~2.0gを2回に分けて5日間点滴投与した。UTI薬効評価基準では15例が評価可能で, 15例全てが有効以上で, 有効率は100%であった。急性前立腺炎の1例はやや有効であった。治療前の尿路感染症の尿から分離された菌株は, グラム陰性菌7種16株, グラム陽性球菌は3種10株であった。治療により後者のうち1株のみが除菌されなかったが, 残る25株, 96.2%が除菌された。分離した26株中23株のMICを測定したが, 11株が≦0.05μg/mlの感受性を示した。今回の検討結果は, CFLPのin vitroの抗菌スペクトラム, 抗菌活性の成績によく一致した臨床成績であると思われた。安全性については, 自覚的副作用は全例にみられなかった。臨床検査値の異常変動は, 2例でみられた。内容はいずれも肝機能値の軽度の上昇であった。しかし, 総体的には既存の同系剤と比較して安全性に問題はないように思われた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top