日本化学療法学会雑誌
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Cefluprenamの耳鼻咽喉科領域感染症に対する臨床的検討
西谷 全弘山川 卓也中澤 詠子市川 銀一郎和田 昌士板橋 隆嗣
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キーワード: 耳鼻咽喉科感染症
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1995 年 43 巻 Supplement4 号 p. 440-443

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抄録

新しいセファロスポリン系抗生物質cefluprenamを耳鼻咽喉科領域感染症に使用した。慢性中耳炎の急性増悪2例, 急性副鼻腔炎3例, 慢性副鼻腔炎の急性増悪1例, 急性扁桃炎14例, 急性扁桃周囲膿瘍2例, 急性喉頭炎1例, 急性喉頭蓋炎2例, 耳下腺膿瘍1例および耳瘻孔化膿症1例の合計27例 (男性16例, 女性11例) について臨床的検討を行った。投与量は原則として1回1g, 1日2回 (1回0.5gが1症例, 1回2gが2症例) を1~11日間 (平均5.5日), 総投与量は2~28g (平均11.1g) であった。溶解液としてフルクトラクト200ml 13例生理食塩水100ml 14例を用い, いずれも30~60分かけて点滴静注した。臨床効果は除外の1例を除き, 26例中, 耳下腺膿瘍1例がやや有効で, 残りの25例はいずれも有効以上 (うち著効20例) の効果が得られ, 有効率は96.2%であった。細菌学的にはグラム陽性菌14株, グラム陰性菌3株, 嫌気性菌2株の19株が分離同定され, その効果は不明の1株を除き, すべて除菌され, 100%の菌消失率であった。副作用は下痢が2例にみられ, 臨床検査値異常としては好酸球増多が1例にみられた。

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