新しい注射用セフェム系抗生物質cefluprenamの耳鼻咽喉科領域感染症に対する有効性, 安全性を検討した。対象は計21例で, 性別は男性10例, 女性11例, 年齢は19歳から66歳, 平均年齢は37.9歳であった。症例の内訳は, 慢性中耳炎3例, 慢性中耳炎の急性増悪3例, 急性副鼻腔炎2例, 慢性副鼻腔炎3例, 慢性副鼻腔炎の急性増悪2例, 急性扁桃炎6例, 扁桃周囲炎1例, 扁桃周囲膿瘍1例である。投与方法は本剤19あるいは29を1日朝, 夕2回, 静注または点滴静注した。効果判定は主治医が臨床症状と諸検査の結果をもとに行った。結果, 著効3例, 有効12例, やや有効4例, 無効2例で有効以上の割合は71.4%であった。細菌学的効果はグラム陽性菌では消失率81.8%(9/11), グラム陰性菌では8/9, 全体では88.5%(23/26) できわめて良好であった。自他覚的副作用は発疹・発熱が2例にみられ, 臨床検査値異常としては尿蛋白陽性が1例にみられた。以上の成績からcefluprenamは耳鼻咽喉科領域感染症に対し, 有用性の高い薬剤と考えられた。