日本化学療法学会雑誌
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外科領域感染症に対するbalofloxacinの臨床的検討
小野 成夫田中 豊治竹中 能文吉野 肇一
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1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 604-608

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抄録
外科領域感染症の26症例を対象にbalofloxacin (BLFX) の臨床効果について検討した。感染症の内訳は節8例, 感染性粉瘤10例, 節疽2例, 皮下膿瘍2例, 創傷・熱傷等の二次感染2例および肛門周囲膿瘍, 乳腺炎の各1例であった。BLFXの1回量200mgを1日2回, 5~7日経口投与した。その結果, 有効性評価対象の25症例全てが著効または有効と判定され, 有効率は100%であった。起炎菌はグラム陽性球菌を主に34菌株が分離されたが, 本薬投与により全て除菌され, 高度耐性のMRSAやPseudomonas aeruginosaも除菌された。副作用として1例に全身の一過性の蕁麻疹が発現したが, 本薬を中止したのみで, 特別の処置をすることなく翌日には消失した。他の自他覚的副作用および臨床検査値異常変動は認められなかった。以上の成績より, BLFXは外科領域感染症に対して安全で有用な新規経口キノロン薬であると考えられた。
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