1996 年 44 巻 Supplement1 号 p. 289-294
新しく開発されたキノロン系抗菌薬NM441の抗菌活性本体であるNM394の抗菌力および各種呼吸器感染症に対してNM441を経口投与した時の臨床効果を検討したところ, 以下のごとき成績を得た。
1) 抗菌力
臨床分離の6菌種, 150株に対するNM394のMIC90値はmethicillin-susceptible Staphylococcus aurezcs (MSSA) 3.13μg/ml, methicillin-resistant S.aureus (MRSA) 6.25μg/ml, Escherichia coli 0.1μg/ml, Klebsiella pneumoniae 0.2μg/ml, Proteus mirabilis 0.39μg/ml, Pseudomonas aemginosa 3.13μg/mlであった。
2) 臨床成績
細菌性肺炎5例, 急性気管支炎1例, 慢性気管支炎1例, 急性咽喉頭炎1例, 急性扁桃腺炎1例, 急性膀胱炎1例計10例の臨床効果は, 判定可能であった9例のうち8例で「有効」の結果を得, 1例が「やや有効」であった。細菌性肺炎2例よりS.aurezcs (MRSA), α-Streptococcus, 急性気管支炎1例よりK.pneumonine, 慢性気管支炎1例よりS.aureus (MSSA), 急性扁桃腺炎l例よりStreptococczts pyogenes, 急性膀胱炎1例よりE.coliが分離された。細菌性肺炎例のS.aureusは存続し, 急性扁桃腺炎では使用後細菌培養未実施により「判定不能」であったが, それら以外の症例の分離菌はいずれも除菌された。
自他覚的副作用としては, 発疹 (1例), 舌炎・水庖 (1例) がみられた。臨床検査値の異常変動は細菌性肺炎の1例で好酸球の増多が認められた。
以上の成績から, 本剤は幅広い抗菌スペクトルと良好な臨床成績を示し, 内科領域感染症に対して有用な薬剤の一つと考えられた。