日本化学療法学会雑誌
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救急センターでのMRSA蔓延状態に対するmupirocin全例塗布効果
天野 博史大浜 仁也須田 勝久堀 光広
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1999 年 47 巻 9 号 p. 558-565

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抄録

最近, 当院ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (methicillin resistant Staphylococcus aureus以下, MRSA) によるアウトブレイクを経験した。ほどなくMRSAは, 救急センター病棟を含む院内全域に蔓延し, 数例のMRSA感染症による死亡例を経験するに至った。院内感染対策の再強化が徹底されたにもかかわらず, 保菌症例および感染症例はさらに増加した。1997年7月より, 救急センターに限定して, 患者全員に対しmupirocin (MUP) の1日3回3日間の一斉塗布を実施した。また, 以降9か月, 新規入院患者に対しても, 入室時に同様のレジメンにて予防的塗布を行った。MUPの一斉塗布導入の前後で, 救急センター病棟および呼吸器疾患ユニットを含む一般病棟におけるMRSA保菌者数および感染症例数を比較検討した。MRSA保菌・感染の頻度は, 両病棟において著しく減少し, 救急センター病棟におけるMUPの一斉塗布は, 救急センター病棟のみならず, 一般病棟における保菌・感染の減少にも有効であった。

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