2000 年 48 巻 10 号 p. 775-779
シェーグレン症候群モデルNFS sldマウスに自己免疫病変の発症しはじめる4週齢よりfosfomycin (FOM) を腹腔内投与すると, 12週齢にて対照群に比較してFOM投与群に痢変の抑制効果が認められた。また, 8週齢および12週齢でのFOM投与群の唾液腺組織におけるTUNEL陽性腺上皮細胞は有意に減少していた。ヒト唾液腺細胞株 (HSG, HSY) のFasを介したアポトーシスは低濃度域 (0.001~0.1μg/mL) のFOM前処理にて阻害され, さらに唾液腺特異的自己抗原α-fodrinの分断化を抑制することが明らかとなり, そのメカニズムとしてカスパーゼ (ICE, CPP 32) 活性のFOMによる抑制効果が示された。したがって, FOMが臓器特異的自己免疫疾患の治療に応用可能であることが示唆される。