2000 年 48 巻 11 号 p. 833-838
Pseudomonas aeruginosaに対するcefoselis (CFSL) とamikacin (AMK) の併用効果を, in vitro checkerboard法およびP.aeruginosaにより敗血症を惹起したマウスに, ヒトにCFSLおよびAMKを併用投与した時の血漿中濃度推移を再現した時の治療効果で検討し, それぞれの薬剤のphamaoodynamics の面から解析した。CFSLに対する感受性の異なるP.aemgimsaの臨床分離株に対するCFSLとAMK, tobramycinまたはisepamicinとの併用効果をin vitro checkerboard法で検討したところ, CFSLのMICが2μg/mL≤MIC≤8μg/mLの25株に3種のアミノ配糖体薬と併用した時のCFSLのMICは≤0.87μg/mL~≤1.09μg/mLで, 単独時の平均MIC;4.11μg/mLの1/4以下であった。CFSLのMICが16μg/mL, ≤MIC≤128μg/mLの29株に同様に併用した時のCFSLのMICは≤7.63μg/mL~9.69μg/mLで, 単独時の平均MIC;37.8μg/mLの約1/4であった。一方, CFSLに低感受性のP.aerugimsaによるマウス腹腔内感染による敗血症に対して, CFSLの29とAMKの200mgを併用投与した時のヒト血禁中濃度推移のin vivo phamacokinetic modelを用いて治療した時, それぞれの単剤では血中菌数は投与6時間後には増加を認めたが, 併用治療では投与開始6時間後でも優れた殺菌効果を示した。In vivo phamacokinetic mode1における優れた治療効果は, AMKと併用することによりCFSLのP.aeruginosaに対するMICが低下し, CFSL, 低感受性のP.aeruginosaに対してCFSLの常用投与量投与時の血漿中濃度におけるtime above MICが延長したことによると推察された。これらの結果から, 緊急性を要するP.aeruginosa敗血症に対してCF5SLとAMKの併用療法の有用性が示唆された。