日本化学療法学会雑誌
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小児の呼吸器感染症に対するcefozopranの臨床成績
坂田 宏丸山 静男
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キーワード: 気道感染症, 小児
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2000 年 48 巻 3 号 p. 195-198

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抄録

対象は1999年1月から8月までに当施設に細菌性呼吸器感染症が疑われて入院し, cefozopran (CZOP) を投与した生後5か月から13歳までの小児87名である。CZOPは原則的に20mg/kg/回を8時間ごとにoneshot静注投与した。87名のうち原因菌が検出されたのは42名であった。42名の疾患は全員気管支肺炎で, うち8名は中耳炎を合併していた。原因菌はHaemophilus influenzaeが21名, Streptococcuspneumoniaeが16名, HinfluenzaeS. pneumoniaeの両者が5名であった。臨床効果は著効が12名 (28.6%), 有効が30名 (71.4%) と全員有効以上の成績であった。細菌学的効果ではH. influenzaeが26株中24株 (92.3%), S. pneumoniaeが21株中18株 (85.7%) が除菌された。除菌されなかった5名のうちS. pneumoniaeの2名とHinfluenzaeの2名は1から2週間後に再び肺炎または中耳炎を起こした。菌は検出されなかったが, 臨床的に細菌感染症と考えられた29名の気管支肺炎では, 8名 (27.6%) が著効, 21名 (72.4%) が有効であった。最終的に本剤の適応外と考えられた16名も含めてCZOPを投与した87名中4名 (4.6%) で軽度の下痢・軟便がみられた。他に副作用と思われる症状の出現はなく, 臨床検査値の異常も認めなかった。

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