日本化学療法学会雑誌
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歯性感染症から分離された検出菌の各種抗菌薬に対する薬剤感受性
齋藤 かおり金子 明寛高倉 淳荒井 育子松崎 薫小林 寅哲
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2001 年 49 巻 1 号 p. 30-35

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抄録

糖尿病患者にみられた, ガス産生菌による頬部膿瘍の1例の経過と歯性感染症の起炎菌に対する薬剤感受性試験を報告する。症例は56歳, 男性で血糖値は554mg/dL, HbAlcは12.2%と高値であった。CTでは右側の腫脹, 側頭筋部皮下より頬部皮下にかけてガス像が認められた。切開排膿, 抜歯を行いpanipenem/betamipron (PAPM) およびclindamycin (CLDM) を併用し炎症症状は軽快した。検出菌はStreptococcus constellatus, Klebsiella pneumoniae, Peptostreptococcus, Propionibacteriumおよび嫌気性グラム陽性桿菌 (ANGPR) であったまた, 最近の歯性感染症からの分離菌と薬剤感受性を調べたところ, 51症例から, 219菌株検出され, 好気性菌が42%, 嫌気性菌が58%であった。もっとも多く検出されたのが, Prevotella spp. およびPorphyromonas spp., 次いでPeptostreptococcus spp., oral Streptococciであった。Ampicillin (ABPC), flomoxef (FMOX), clarithromycinおよびazithromycinに対し, MICの大きいSteptococcus mitis株が認められた。S. mitisに対する被検各抗菌薬の抗菌力はfaropenem (FRPM)>cefditoren>ABPC>FMOXの順であった。Prevotella intermediaはFRPMを除くβ-ラクタム薬に対して耐性株が認められた。

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